【三橋貴明】拡大するデフレギャップ


From 三橋貴明

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【今週のNewsピックアップ】
●財政の崖
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11959989012.html

●拡大するデフレギャップ
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11961175825.html

デフレ期に増税をすると、総需要である名目GDPがマイナスになり、デフレが深刻化する。
と、すでに1000回以上繰り返してきたと思いますが、現実に日本が14年4月に消費税を増税し、我が国の名目GDPはマイナス成長に突っ込み、総需要の不足による「デフレギャップの拡大」の局面に入っています。
正直、想像以上のスピードです。97年の増税期と比べると、名目GDPの減少は半年以上も早い時期に始まりました。

名目GDPという総需要が縮小すると、当然の話として「=潜在GDP-名目GDP」で計算されるデフレギャップ(需給ギャップのマイナス)は拡大します。というか、拡大しています。

デフレギャップが拡大すると、企業はリストラクチャリングにより潜在GDPという供給能力を削り取ろうとします。あるいは、倒産・廃業します。結果、失業者が増え、ますます総需要が抑制されるという悪循環に突っ込むのです。

安倍政権は消費税を増税するのみならず、補正予算を削減するという形で名目GDPを抑制しています。「増税」に「政府支出削減」が被さった以上、我が国が「再デフレ化」することは、ほぼ確定的になりました。
ここに、「派遣法改正」「労働時間規制の緩和」「配偶者控除廃止」「外国移民受入」「農協改革」等の構造改革が実施されると、デフレは深刻化します。TPPも同じです。

「規制の緩和」「自由貿易」等、競争激化により生産性を高めることを目指す政策は、デフレ対策ではなく、インフレ対策なのです。NYTのコラムで、ポール・クルーグマンが、
「構造改革は──労働市場をもっと柔軟にして賃金カットをやりやすくしましょうとかって改革は──むしろ不況を悪化させる.なんで? 柔軟性のパラドックスのせいだ:賃金と物価が下落すれば,実質の債務負担がいっそう重くなる.そうすると,需要はさらに押し下げられてしまう.」
(邦訳「経済学1010 「苦しむ日本がとるべき道筋」 2014年11月29日 )と語っていましたが、構造改革は「物価抑制政策」です。インフレ期にはともかく、デフレ脱却を目指す政権が採用するべき政策ではありません。

現在、日本は物価上昇に賃金上昇が追い付かず、実質賃金が下落をしていっています。間もなく、物価の上昇はストップし、名目賃金もマイナスとなる「再デフレ化」の状況に至るでしょう。

コアコアCPIはもちろんのこと、原油価格が下落していることもあり、コアCPIも(消費税増税分を除くと)ゼロに近づくことになります。

政府が、
「緊縮財政は、デフレ促進策」
「構造改革派、デフレ促進策」
という、ごくごく当たり前の「基本」に戻り、全ての政策を「デフレ脱却」の方向にむけるレジーム・チェンジが行われない限り、2015年は日本が「再デフレ化した年」として記憶されることになります。

PS
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