株主優待:花盛り…過去最高、上場企業31%で実施

毎日新聞 2014年12月08日 08時15分(最終更新 12月08日 09時36分)

最近導入された主な株主優待制度の内容
最近導入された主な株主優待制度の内容

 株主に株式の長期保有を促そうと、株主優待制度を導入する企業が増えている。株価が上がると投資家の多くは売却して利益を得ようとするが、売却益よりも優待を受けたいという株主が増えれば、安定株主の増加が期待できる。今秋には優待制度の実施率が上場企業の3割を超え、過去最高を更新した。

 ◇ブルドーザー模型、スポーツチケット……

 建設機械大手のコマツは1949年の上場以来初めて株主優待制度を導入。300株以上を3年以上保有する株主が対象で、第1回は同社製ブルドーザーのミニチュアを来年1月以降に発送する。完全オリジナルで「毎年違うモデルを出すので、コレクションにしてほしい」と、同社は個人投資家の長期保有を期待する。

 大和インベスター・リレーションズ(IR)の集計によると、昨年10月から今年9月末までの1年間に優待制度を新設した企業は82社。2006年10月〜07年9月の105社に次ぐ過去2番目の規模だ。制度の新設は10月以降も増え続けており、「14年の制度導入企業数は過去最高になる可能性がある」(同社)という。また、株主優待制度を実施する企業は9月末で1150社で、実施率は上場企業全体の31.9%と過去最高を更新した。

 株主優待制度は毎年、決まった時点(基準日)で一定の株式数を保有している株主が対象。株価が上がったらすぐに売却するのではなく、長く安定して保有してくれる個人株主をひきつけることが期待できる。コストがかかるため、とりやめる企業もあるが最近になって再開した企業もある。

 制度の新設を発表した企業には、楽天やKDDIなど消費者との接点が大きい企業だけでなく、自動車部品や精密機器、金属製品など消費者にとってあまり身近でない企業も目立っている。リコーはラグビー観戦チケットや演奏会への招待などを抽選で実施する。楽天は楽天イーグルスの観戦チケットの優待販売などを提供。各社とも、個人投資家への魅力を高めようと懸命になっている。

 大和IRは「株主優待だけで生活している投資家が雑誌で話題になるなど、株主優待への注目は例年以上に高まっている」と指摘する。【大塚卓也】

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