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集団的自衛権見直し布石の異例人事/丁寧な説明不可欠/法制局長官に小松駐仏大使


小松一郎駐フランス大使
 安倍晋三首相は2日、内閣法制局の山本庸幸長官(63)を退任させ、後任に小松一郎駐フランス大使(62)を充てる方針を決めた。8日にも閣議で正式決定する。集団的自衛権に関する政府解釈見直しに前向きな小松氏を起用し、行使容認に向けた布石を打つ狙いがあるとみられる。内閣法制局長官は内閣法制次長が昇任するのが慣例で、今回の人事は極めて異例だ。

 山本氏は最高裁判事に充てる。集団的自衛権に関しては、連立を組む公明党が行使容認に「断固反対」(山口那津男代表)しているほか、野党が恣意(しい)的人事と批判する可能性も高く、与野党で議論が激しくなりそうだ。

 憲法解釈は長年の国会答弁を積み重ねて形成されており、見直しに向けた手続きが難航することも予想される。

 集団的自衛権は同盟国が攻撃されたときに自国への攻撃とみなして反撃できる権利。内閣法制局は「権利はあるが行使はできない」との憲法解釈を繰り返し示してきた。

 これに対し首相は解釈見直しに前向きで、第1次政権時に設置した有識者懇談会を今年2月に再発足させた。小松氏は安全保障や国際法に精通していることで知られ、第1次政権時、外務省国際法局長として懇談会に関わっている。

 懇談会は8月中旬にも議論を再開し、秋に報告書をまとめて政府に提出する方向で調整に入っている。これを受け政府は解釈変更を閣議決定する段取りを想定しており、長官を交代させ、調整を円滑に進めたい意向があるとみられる。

 山本氏は、2011年12月に内閣法制次長から長官に昇格した。

 小松氏は神奈川県出身で、一橋大を中退し、1972年に外務省入省。国際法局長などを経て11年9月から駐フランス大使を務めている。


 ■丁寧な説明不可欠

 【解説】安倍晋三首相が2日、内閣法制局長官に集団的自衛権の行使容認に前向きな外務省の小松一郎駐フランス大使を充てる方針を決め、官邸主導で物事を進める安倍政権の性格があらためて浮き彫りになった。

 集団的自衛権については、日本の安全保障や外交の行方を左右する重要問題だけに、巨大与党による「決められる政治」の遂行にとらわれるのではなく、丁寧な説明が欠かせない。従来の政府解釈は内閣法制局長官答弁の積み上げで成り立ってきただけに、長官人事だけで済まされる問題ではない。

 麻生太郎副総理兼財務相の「ナチス発言」に批判が集中したように、保守色が強いとされる安倍政権の「右傾化」傾向には国内外から厳しい視線が向けられている。

 人事は首相の専権事項とはいえ、自分の進めたいように水面下で環境整備を進めていると受け取られれば、政権への不信感は増すだろう。

 (共同通信)

2013/08/03 11:37

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