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若者はチャレンジを ノーベル賞の天野・中村さん会見

朝日新聞デジタル 12月7日(日)20時49分配信

 今年のノーベル物理学賞を受ける天野浩・名古屋大教授(54)と中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(60)が7日、スウェーデン・ストックホルム郊外にある王立科学アカデミーで記者会見した。天野さんの会見は現地入り後初めてで、「革新的な技術の研究は簡単ではないが、ノーベル賞につながったことを誇らしく思う」と喜びを語った。

【写真】7日、スウェーデン・ストックホルム郊外にある王立科学アカデミーでの会見中に天野浩教授(左)のグラスに水を注ぐ中村修二教授=高橋雄大撮影

 会見は、10日の授賞式を前にしたノーベル財団の公式行事。天野さんと中村さんは、化学賞の3人と経済学賞の1人と一緒に英語で質疑に臨んだ。6日に現地入りした赤崎勇・名城大教授(85)は出席を予定していなかった。

 天野さんは、黒っぽいスーツ姿で腰にはオレンジ色のポーチ。黄色いネクタイ姿の中村さんと隣り合って座った。

 日本人研究者の受賞が増えていることについて「日本人にとっては基礎研究は非常に重要。日本の学術界は基礎研究に価値を置いている。それが、ノーベル賞につながっているのでは」と話した。

 現地で2度目の会見になる中村さんは「日本人は非常に勤勉で実直だ。これは科学のフィールドで重要なことだ」と説明。受賞理由の青色発光ダイオード(LED)について「普通の人も効率のいい照明を使うことができるようになった。地球の温暖化のことを考えるとなおさら意義がある」と述べた。

 会見では、質問に対して回答を譲り合う場面も見られた。報道陣から若い世代へのメッセージを求められた2人は、口をそろえて「チャレンジすること」を第一に挙げた。中村さんは「常に新しいチャレンジに向かうのが重要。怖がらず、新しいアイデアにどんどんチャレンジを。リスクをとらないとブレークスルーはない」。天野さんも「チャレンジすることが人類への貢献につながる」と期待を込めた。

 会見後、中村さんは朝日新聞の取材に「最近の日本の学生は海外に出たがらないと聞く。20、30年後の日本の将来が心配だ。このままでは、いい発明、いい製品まではできるが、グローバル化には対応出来ない。リスクをとって、海外に出てほしい」と会見でのメッセージを解説した。

 天野さんの妻の香寿美さん(54)は会見での夫の受け答えを間近で聞き、「緊張していたと思うが、すごく自然体だった。的を射た答えだった」と喜んだ。

 物理学賞を受ける3人は8日にストックホルム大で恒例の記念講演に臨む。(ストックホルム=小林直子、木村俊介)

朝日新聞社

最終更新:12月7日(日)22時47分

朝日新聞デジタル

 

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