今年1月から10月まで大手スーパー「ホームプラス」の全国139カ所の売り場で最もたくさん売れた菓子は、ヘテ製菓の「ホームランボール」だった。ホームランボールが初めて発売されたのは1981年。サッカー選手の朴智星(パク・チソン)、韓流スターのチョン・ジヒョンなどが「ホームランボール」と同い年だ。今季韓国プロ野球で本塁打王に輝いたパク・ピョンホは「ホームランボール」よりも5歳若い。販売順位4位のオリオン「オジンオタンコン(イカ風味で中にピーナツの入ったお菓子)」は、来年韓国の年(数え年)で40歳になる。京畿道城南市盆唐区にあるホームプラスのオリ店で9日に会った主婦のソン・アリムさん(34)は「普段ビールのおつまみとして欠かせないオジンオタンコンが私よりも4歳も年上だとは知らなかった」と驚いた。
発売から20-30年が過ぎた「20世紀のお菓子」が相変らず人気だ。ホームプラスの調査によると、今年に入って最もたくさん売れた上位9種類の菓子のうち2000年代に発売されたのはロッテ製果のキシリトールガムだけだ。20位までを見ても2000年代以降に発売された菓子は「ドクターユー・エナジーバー」(08年)や「ヌヌルカムジャ」(05年)など6種類にすぎない。
■菓子も高齢化…ヒット作に乏しい菓子業界
2000年代以降に飛び出したヒット商品も、完全に独創的なものとはいえない。その大部分が昔のヒット商品の後続作だ。ドクターユー・エナジーバーとヌヌルカムジャはこれまであったシリアルバーとポテトスティックの成分を変えたもので、モンシェル・カカオケーキ(2007年)とミニクランキー(2004年)はモンシェル・クリームケーキ(1991年)とクランキー(1984年)の亜流作だ。
キシリトールガムとクラウン製菓のソフトキャンディー・マイチュー(2004年)くらいが2000年代に出たヒット作といえる。菓子メーカーの幹部たちは「率直に言ってここ10年間は新たなヒット作に恵まれなかった。従来の商品の壁が非常に高く、ありふれた商品では太刀打ちできない」と話す。
ヒット商品不在に加え、菓子市場の成長も停滞気味だ。国内トップのロッテ製菓の場合、菓子類の韓国国内での売り上げは2011年の8840億ウォン(約932億円)から昨年には8920億ウォン(約941億円)と、2年間の成長率が1%にも満たない。オリオンやクラウンヘテ製菓のその他の「3大企業」も海外市場では多少の成果を挙げているものの、国内市場での成長率は目も当てられない。こうした不振状態は、少子化によって菓子類の主な需要層である子供や若者の人口が減少しているのが決定的な原因だ。満15歳未満の人口は1995年には1024万人だったが、10年には779万人に減った。
韓国企業評価のイ・ヨンフン・シニア研究員は「韓国の幼少年人口が減ったため、2002年以降は菓子類の製品出荷率が上がらない状態」と話す。韓国投資証券のイ・ギョンジュ研究員は「大人の市場を狙って2008年から出始めた高価なプレミアム商品も不景気により期待したほど売り上げが伸びなかった」という。