【コラム】今さら月探査機の打ち上げとは

 残り3年もないというのを聞いて、逆算してみたが、その通りだった。韓国が初めて月探査機を打ち上げる年が2017年なのだ。月とは関係ないキム・スヨンの詩『月の国のいたずら』が突然脳裏をよぎった。確か「すぐに終わってしまう月の国のいたずらのようだ」と書かれていたはずだ。

 向かい側に座った航空宇宙研究院(航宇研)の幹部がこれを悟らせてくれた。「140ある国政課題のうち、月探査は13番目に挙げられています。政府の方針に従ってわれわれは実行計画を立てるだけです」

 大統領選挙の投票日を3日後に控えた2012年12月16日、第3回目となった最後のテレビ討論で朴槿恵(パク・クンヘ)大統領候補(当時)は最高のカードを切った。

 「(韓国製の月探査船の)月への着陸を2025年から20年に前倒しする。20年には月に太極旗がはためくだろう」

 大気のない月で太極旗が「はためく」という言葉に苦笑いしながらも「選挙を前に、できない約束なんてあるわけがない」と思って聞き流した。しかし、政府レベルでは大統領の公約がまるで黄金に匹敵するようだ。航宇研は「2020年の月着陸」に照準を合わせるため、尻に火が付いている。

 よく考えればできないことでもない。米国はすでに1960年代にこれに成功している。ケネディ大統領が「1960年代が終わる前に、宇宙飛行士を月に着陸させ、無事に地球に帰還させる」と演説した通り、1969年にアポロ11号がその任務を果たしたのだ。

 どんなに米国がすごいとはいえ、今のわれわれの技術力と経済的な状況が「45年前の米国」に追い付けないはずはない。万が一それには及ばなかったとしても、月に探査機を着陸させるだけの方法はあるだろう。さらに最近のトレンドは「無人探査機」だ。アームストロングのように「一人の人間にとっては小さな一歩だが人類にとっては偉大な一歩である」と言って月に着陸する理由ももうない。月探査機に太極旗のマーク付いていれば、「月に太極旗がはためく」ことになる。

 航宇研の関係者は今さらながらこれを悟らせてくれた。「今回の月探査プロジェクトは探査船に焦点が合わせられています」

崔普植(チェ・ボシク)先任記者
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