<ガンダム>35年間“現在形”でいられる秘密
まんたんウェブ 12月7日(日)10時0分配信
この秋、二つの「ガンダム」が地上波で放映されている。一つは「ガンダム Gのレコンギスタ」、もう一つは「ガンダムビルドファイターズトライ」だ。同じタイトルを冠するテレビシリーズが並行して公開されるのは、ロボットアニメとしてはまれなことだ。お台場に実物大のロボット像が建ち、玩具やファッションなどあらゆる媒体に拡散しながらも、それらの中核にある「ガンダム」とは何なのだろう。
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その原点は、1979年に放映された「機動戦士ガンダム」、通称「ファースト」にある。異星人の侵略ではなく、同じ人類同士が国家の存亡を懸けて宇宙と地上とで戦線を展開し、量産型のロボット兵器(モビルスーツ)が投入される……。そうした「戦争」を持ち込むことで、本作はロボットアニメのジャンルに革命を起こした。
現在もなお「ガンダム」市場が活気にあふれているのは、ファーストが不朽の名作と言われる完成度を誇っていたことが理由に挙げられる。主役メカのガンダムや魅力ある量産モビルスーツたち、複雑な内面を持つキャラクターと彼らが織りなす人間ドラマ。しかし、名作や傑作が“過去形”で振り返られる例はいくらでもある。なぜ「ガンダム」は、35年たったいつまでも“現在形”でいられるのか。
「ガンダム」を構成する要素の一つは「ガンプラ」だ。日本では戦車や戦艦など兵器のスケールモデルに源流のあるプラモデルは、元々は高年齢層向けであり、子供向けとされたロボットアニメとはあまり縁がなかった。しかし、その前にヒットした「宇宙戦艦ヤマト」によって創出された「アニメのプラモ」の需要が、やはり年齢が高めの若者に人気だったガンダムに引き継がれたのだ。さらにアニメ本編では登場していないMSV(モビルスーツバリエーション、外伝的な機体のバリエーション)のガンプラが発売されたことは、市場のみならず世界観の拡大ももたらした。
二つ目のカギは「宇宙世紀」だ。西暦と区切られた時間軸である「宇宙世紀」はファーストからあったが、「もう一つの歴史」として確立したのは続編の「機動戦士Zガンダム」以降だ。前作から7年後の設定だった「Z」は、映像化された枠の外にも人々が生を営み社会が変化していく時間の流れがあることを示した。テレビシリーズの間に生じた空白の期間は、小説やゲーム、コミックなどが想像力を広げる“遊び場”を提供したのだ。
最終更新:12月7日(日)15時12分
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