ジオンの残業
〜マ・クベの資源はどこにいったか?〜
オデッサ作戦が終了した後、マ・クベ大佐は宇宙に上がるときにこのセリフを残しています。
「戦いはこの一戦で終わりではないのだよ。考えても見ろ…我々がジオン本国に送り届けた鉱物資源の量を…ジオンは、あと10年は戦える!!」
しかし、1年戦争はそれから2ヶ月しないうちに終結しました。
そのため、こういうことを言う人がいます。(実際に聞きました)
「あれは、マ・クベのただの負け惜しみだった!」
「マ・クベは実情を全然知らなかった。数字が水増しされていて実際はジオンは火の車だった!」
「連邦の物量作戦の前に、ジオンは資源がそこを着いてなすすべがなかった!!」
違います!!!
少なくともTV版では
1年戦争にジオン公国が敗北したのは、ザビ家をはじめとする上層部の内紛のせいです!!
映像作品でジオン国内で資源が底を付いたというシーンは(少なくとも鉱物資源に関しては)一度も出てきません。
ジオンは「ア・バオア・クー」戦まで途切れることなくMSを生産しています(しかもTV画面を埋めるほど大量に)。
さらに「ソーラ・レイ」「ビグ・ザム」「エルメス」「ジオング」といった系統の違う新型兵器を開発し、完成させる余裕すらありました。
最終的には熟練パイロットがいなくなり、学徒出陣というような「人的資源」の問題こそあったものの、鉱物資源に関する限り、問題となったシーンは(少なくとも映像作品には)出てきません。
マ・クベ大佐は本当に10年戦えるほどの鉱物資源を送り届けたのです!!
だとしたら、マ・クベ大佐がジオン本国に送り届けた鉱物資源はどうなったのでしょう?
結論から先に言いましょう!!
ジオンはこのあと、10年間戦っています!!!
宇宙世紀0080年に1年戦争は終結しました。
しかし、そのあと、「0083年のデラーズ・フリート」「0087年のアクシズ」「0091の逆襲のシャア」などなど
約10年間ジオンの名の下に戦ってきた組織があります。
これらの資金源になったものは「マ・クベの遺産」とも言える、あの鉱物資源だったのではないでしょうか?
マ・クベ大佐は「戦後の世界でキシリア様が主導権を握るために」と鉱物資源を送り届けていました。
このことから、当然キシリア少将のお膝元である「グラナダ」に多くの鉱物資源(しかも貴重なもの)を送っていたと考えられます。
グラナダは、1年戦争で直接の戦闘は行われませんでした。
さらに戦争終結時に連邦との和平を嫌って、1部のものがアクシズに逃れ、これがネオ・ジオンにつながったということになっています。
このときに「マ・クベの遺産」の大部分を持っていったと考えられます。
更には、この資金の一部が「デラーズ・フリート」に渡っていたことも考えられます。
こう考えると、いくつかの謎に答が見えてきます。
デラーズ・フリートが「星の屑作戦」であれほど大規模な行動を取れた資金源
1資源小惑星に過ぎないアクシズが(いくら内部抗争で疲弊しているとはいえ)地球連邦軍と互角に戦えた理由
「逆襲のシャア」でシャアがあのタイミングで最終作戦を計画したこと
公式設定では「『デラーズ・フリート』は『茨の園』を本拠地に海賊行為を働いていた」とありますが、さすがにそれだけで、あれだけの軍艦・MS・人員を養えたわけではないでしょう。
ZZの「スタンパ・ハロイ」のようなパトロンもそうそういるわけではないでしょう。
0083では「アナハイム・エレクトロニクス」の「オサリバン常務」が「シーマ少佐」と接触するシーンがあります。
いくら、アナハイムが“死の商人”で、「地球圏で混乱が起きたほうが商売がうまくいく」といえども、何の後ろ盾もなしに新型MSなどを取引するとは考えられません。
おそらく「キシリア少佐が『貴重な鉱物資源は1グラムたりとも、連邦に渡してはなりません』といった」、その資源が目当てだったのではないでしょうか?
(ちなみに資源の名前は「ソリウム」など、「灼熱のアッザムリーダー」を参照です)
このようにデラーズ・フリートは、おそらくアクシズからかなりの援助を受け、後のネオジオン旗揚げのために「星の屑作戦」を決行したのです。
そのあと、ハマーン・カーンによって牛耳られたアクシズは地球連邦と交戦し、シャアが総帥に付いた10年後には、あまり資源が残っていなかったのではないでしょうか?
「逆襲のシャア」内で、アデナウアー参事官に対して「アクシズの運搬の仕事がほしい」などと、交渉しています。(もちろんこれは罠だったわけなのですが)
この条件を地球連邦が信じたのも、結構、資源が尽きる頃だと考えていたからかもしれませんね。