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 高齢化で医療や介護を受けたい人が急増する一方で、少子化で働き手が減る。すでに医療や介護を求めて地方に移り住む人や、需要を求めて都市部に介護施設を作る地方の社会福祉法人も出てきた。国や自治体は対策を進めるが、実行するには障壁は高い。

 埼玉県の50代女性は、東京都練馬区に住む80代の父母の介護に行き詰まった。母は認知症が進み、父は足腰が弱って歩けない。女性がほぼ毎日世話をしたが、昨年5月に父が入院。母は床ずれもひどくなった。

 女性は両親が入居できる施設を探した。自宅から歩いて2~3分の特別養護老人ホーム(特養)は約千人の入所待ちと聞いてあきらめた。近くの有料老人ホームは1人月額30万円、入居一時金が数百万円もする。ようやく埼玉県白岡市の介護老人保健施設を見つけ、昨年7月に2人で入った。女性は「近くに特養などが増えればいい」と話す。

 都会から医療が充実した地方に移り住む人もいる。地域医療先進地の長野県佐久市は、人口を増やそうと空き家紹介制度を2008年度に始めた。今春、重症患者向けの佐久医療センターの開業でさらに充実し、空き家バンクの契約は10月時点で約280世帯に上った。

 会社経営をしていた古沢守さん(79)と千絵さん(73)夫妻は12年10月、横浜市から佐久市に引っ越した。