消費税の再増税が17年4月に先送りされたことを受けて、自民、公明の両党…[続きを読む]
振り込め詐欺の被害が急増している。今年1~10月の被害総額は290億円…
振り込め詐欺の被害が急増している。今年1~10月の被害総額は290億円超。過去最悪だった04年の年間分を超えた。
なかでも、息子や孫になりすまし、現金をだまし取る、いわゆる「オレオレ詐欺」の被害額が最も大きく、振り込め詐欺全体の半分近くを占める。
被害者の約9割が60歳以上の高齢者だ。老後の蓄えを根こそぎ奪われた人もいる。
被害を根絶するためには、警察による摘発の強化に加え、新しい手口に対応した自衛の力を磨くことが肝要である。
オレオレ詐欺は十数年前から目立ち始めた。しかし、高額な振り込みをしようとしている人への声かけなど、金融機関の対策が進み、09年には警察の認知件数、被害総額ともにピーク時の3分の1まで減っていた。
ところがここ数年、銀行などを通さない犯行が主流になっている。うその電話の後、共犯者が被害者宅を訪ねて現金を直接受け取る手口だ。郵便で現金を送らせる「送付型」も広まり、被害の増加につながっている。
詐欺グループは、電話で被害者をだます「かけ子」、現金を取る「受け子」、犯罪に使う携帯電話などを調達する「道具屋」など、多くの役割に分かれている。警察も努力しているが、組織の末端を摘発しても、互いに連絡の痕跡を残さないようにしているため、なかなか壊滅につながらないのが実情だ。
だからこそ、一人ひとりの心構えと対策が重要になる。
「私は大丈夫」との過信は禁物だ。警察庁が実際に被害に遭った高齢者に調査したところ、自分が詐欺にひっかかる可能性について「全くない」「ほとんどない」と考えていた人が8割以上だったという。
こうした犯罪がはびこるのは、一人暮らしの高齢者の増加や希薄な家族関係があるといわれる。病気や介護に備えようと、世帯主が65歳以上の世帯平均貯蓄は、全世帯平均より約550万円多いことも影響していよう。親や祖父母と離れて暮らす子や孫は、普段から頻繁に連絡をとるよう心がけてほしい。
警察庁は、事前に「電話での呼びかけ方」や「合言葉」を決めておくことを勧めている。
オレオレ詐欺の犯人が留守番電話にメッセージを残した例がないことから、高齢者宅を常に留守番電話モードにするのも効果的だという。参考にしたい。
振り込め詐欺が後を絶たないのは、首謀者が捕まりにくく、大金を得やすいからだ。社会総がかりで「逃げ得」を許さないようにしなければならない。
朝日新聞デジタルをフォローする
PR比べてお得!