いきなり本文に入るとわかりにくい点もあると思いますので、最初に簡単に補足しておきます。ただし現在(将来もかも)すべての経緯がオープンにはなっているわけではく、ここに書くことが事実とは限りません。私の推測も入っています。
12月2日、Node のコアな開発メンバー達が Node をフォークし、io.js というプロジェクトを作りました。io.js のメンバーには、Node の初期から参加し、最もアクティブなコントリビューターだった5人の内の 4人が含まれています。
・iojs.org
※検索するときは “io.js”より”iojs”の方がまだ探しやすいです。
メンバーが Node を離れた理由は、スポンサーの意向を汲むリーダーの運営方針に対する反発のようです。
Node は Ryan Dahl 氏によって 5年前に創始されたプロジェクトです。Node にはすぐクラウド・コンピューティング会社 Joyent がスポンサーにつきました。Joyent は Dahl を雇い、Node をトレードマークとして使用する権利を得ました。その Dahl は3年前にプロジェクトを去り、プロジェクトは Joyent に任命されたリーダーによって運営されます。その運営が「独裁的(dictatorship)」であったためにコアメンバーの反発を招いた、というのが分裂の原因のようです。
具体的にどのように独裁的であったのかはわかりませんが、本文中に引用されたアドバイザリーボードの議事録から判断すると、まず Node の商用利用の方針に関して、コントリビューターの意見が取り入れられず、スポンサー(Joyent)の意向が強く働いたことがあるようです。
もう一つ、開発者たちは Node への最新技術の導入やより頻繁なアップデートを目指したのにも関わらず、現在の体制ではそれが困難であったことも大きな理由のようです。特にこの一年、プロジェクトの進捗は停滞していたようです。
現時点では io.js プロジェクトは Node と同一の内容ですが、来年の早期に Goole V8 エンジンの新版を含んだカスタムバージョンをリリース予定とのことです。また、io.js メンバーは、io.js は一企業にスポンサーされるのではなく、Apache や Linux のように独立した財団により運営される形を期待しているようです。
Alex Young 氏が結論しているように、今後主流として残るのは Node であるのか io.js であるのか、そもそもこの分裂が決定的なものであるのかどこかで修復されるのか、現時点では判断がつけがたいと思います。
原文: DailyJS | Node Advisory Updates and Node Forks 著者: Alex Young | 2014/12/05 | 翻訳:h.sakai
職業的に Node に関わり、コンスタントに Node に関する文章を書く者として、私は最近の Node.js のフォーク、および Node アドバイザリーボード(諮問会議)に関する議論については当然のようにこれを追っている。目についた記事は instapaper に保存し、血眼になって現在進行中の事態を理解しようとしているところだ。
今週水曜日、TJ Fontaine 氏がアドバイザリーボード更新についての記事を Node 公式ブログに投稿した。アドバイザリーボードではこれまで三度ほどミーティングがもたれており、その記録は GitHub: nodejs-advisory-board/meetings からたどることができる。
最新の議事録は Node のトレードマークに関する現在進行中の議論について触れている。
アドバイザリーボード(諮問会議)は、Node プロジェクトの運営が独裁的にではなく、総員のコンセンサスの元に行われるべきであると結論づけた。
チームの目標は、特にチームリーダーの目標は、コンセンサスを促進し、説明責任を果たすことである。
議事録には続いて、今後 API の変更がどのように扱われるべきかを示したリストが掲載されている。Node 0.12 についてのニュースも載っていた。
StrongLoop のブログにも、この問題に関連する記事が投稿された。io.js という名の メジャー Node フォークについての彼らの立場を表明したものだ。
StrongLoop で我々は、常に Node エコシステム内のリーダーシープを取り、必要に応じて助言や技術的貢献を果たしてきた。今後もそれを継続するつもりだ。 我々は Joyent により 2014年10月に設立された Node アドバイザリーボードで積極的に役割を果たしている。
この一文からは現在の StrongLoop は Node を支持しているようだが、今後 StrongLoop の立場が変わりうることも示している。
WIRED の今回の事件に関する記事「Future of Popular Coding Tool in Doubt After It Splits in Two(二分裂で人気のコーディングツールの将来へ疑問符」では、Mikeal Rogers の言葉を引いて Node のフォーク( Node の二分裂)の原因を Joyent の支配に依るものだとしている。
Node の主要な開発者がこのオープンソースプロジェクトを「フォーク」させたのは昨日(12月2日)のことである。彼らは “Io.js” と言う名の新しいバージョンを作った。グループは、Node のオフィシャルスポンサーであるクラウド・コンピューティング会社 Joyent の執行体制に不満を抱えていた。そこで彼らは自分たち自身で新しいバージョンを作ることにしたのだ。
「私達は、会社に任命されたたった一人の人物によって決定が下される事態を望みませんでした」Node のコミュニティ・オーガーナーザーであり、今回のフォークに関与した Mikeal Rogers 氏は語る。「私達は、コントリビューターがより権限を持ち、コンセンサスが重視されることを望んだのです」
0.12リリースの進捗が遅れている(と思われている)原因には、もちろんそうしたコントリビュータに絡んだ要因があるのにちがいない。io.js は今後、メインストリームの Node に影響を与えるだけの有力なフォークとして存続する可能性はあるだろう。あるいは Chrome とそれほど普及しなかった昔の WebKit ブラウザのような関係になるかもしれない。今は予断を避け、両者をフォローしておくべきだ、というのが私のアドバイスだ。
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