2014年12月6日

ポリタス編集部

【総選挙2014】総選挙と同時に行われる最高裁判所裁判官国民審査とは

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最高裁判所裁判官国民審査公報は⇒こちら
(各裁判官の略歴や最高裁判所において関与した主要な裁判でどのような意見を述べたのかが掲載されています)


12月14日(日)に投票が行われる今回の第47回衆議院選挙は、既に期日前投票が開始されています。一方、今回の衆議院選挙と同時に実施される「最高裁判所裁判官国民審査」の期日前投票は、投票日の7日前——今回の衆議院選挙であれば12月7日(日)までできません。本日6日(土)までは期日前投票や不在者投票ができるのは衆議院選挙だけなので、国民審査も期日前に一緒に済ませたい方は注意が必要です。

どんな審査なの?

日本最高の司法機関である最高裁判所の裁判官にふさわしい人物かどうか、国民が直接審査します。審査が行われるのは、最高裁判所裁判官に任命された後はじめて行われる衆議院議員選挙のとき、その後は10年経過するごとに衆議院選挙と合わせて行われます。

どうして重要なの?

最高裁判所の裁判官は、長官と判事合わせてたった15名しかいません。その15名のうち少なくとも10名は、10年以上の裁判官経験または20年以上の法律専門家経験が必要になります。日本の最高裁判所は、法律などが憲法に反していないかどうかの判断を下す権利があります。また、最高裁判所の判例は、その後の法律運用の基準となるきわめて重要なものです。過去、最高裁判所で誤った判決が下された例もあり、またそれらの裁判官がいまも現役であったりもします。

どうやって投票するの?

国民審査のやり方は簡単で、辞めさせたいと思う裁判官に「×」印を書き、有効投票の過半数が「×」だった裁判官は辞めさせられます。何も記入しないと信任とみなされ、「×」以外の記入はすべて無効となります。そして、(ほかではあまり書かれていませんが)国民投票は「棄権」することができます。その場合は投票用紙を受け取らないもしくは返却し、何も投じません。


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なにを基準に判断すればいいの?

審査する裁判官の情報は、各家庭に配られる『最高裁判所裁判官国民審査公報』または最高裁判所のサイトに掲載されています。お手元に届く公報にはその裁判官が過去に関わった事件と、その際どういう判決を下したかが書かれています。しかし、書かれている内容が専門的で難しいこと、一人あたり1000字以内という制限があることから、なかなかこれだけでは判断できない方が大半だと思われます。

以下、簡単に今回の審査の対象になる5名についてまとめました。信任するかどうかの判断材料にお使いください(敬称略)。

鬼丸かおる(おにまる・かおる)

最高裁判所のサイトでプロフィールを見る

生年月日:1949年2月7日(65歳)
任命された年月日:2013年2月6日

東京都生まれ。東京大学法学部卒業。史上5人目の女性の最高裁判所判事(鬼丸氏就任により、15名のうち3名が女性となる)。

  • 主に関わった裁判:
    • 東京「君が代」裁判第二次訴訟最高裁判決文
      東京都が教職員に卒業式で君が代の斉唱を義務づけていることが憲法に違反するかどうかが争われた裁判で最高裁が「憲法に違反しない」という判決を出した際、職務命令による斉唱義務付けは「個人の思想及び良心の自由についての間接的な制約となり得る」とし、命令不服従に対する不利益処分は慎重で衡量的な配慮が求められるべきという補足意見を付した。
    • 昨年の衆院選は「違憲状態」 最高裁大法廷
      2012年12月の衆院選小選挙区選出議員の選挙は違憲状態の選挙区割りで行われたが、是正のための合理的期間は徒過していないので区割規定は合憲であるとした多数意見について「憲法は国民の投票価値をできる限り1対1に近い平等を保障している」とした上で「区割りはこれに反するが投票価値の平等を保障する選挙制度の構築には時間を要する」との理由から前述の合理的期間は徒過していないとの意見を付加した。
    • 2013年参院選の「一票の格差」をめぐる最高裁判決
      2013年参院選の1票の格差をめぐる最高裁判決で「憲法は国民の投票価値をできる限り1対1に近い平等を保障している」とした上で、「選挙制度の見直しを求めた2009年最高裁判決からの約3年9カ月間で、投票価値の平等を基本とする公職選挙法改正は実現できたはずだ」と述べ、同選挙の時点で既に国会の裁量権の限界を超えて違憲であると判断、「同選挙は違法であると宣言すべきである」との意見を付した。
    • ウナギ稚魚密輸事件「誤判決」、最高裁は一審支持の判決
    • 下関女児殺害、懲役30年判決確定へ

木内道祥(きうち・みちよし)

最高裁判所のサイトでプロフィールを見る

生年月日:1948年1月2日(66歳)
任命された年月日:2013年4月25日

徳島県生まれ。東京大学法学部卒業。倒産事件と家事事件のエキスパートで、阪神・淡路大震災後被災者救済に尽力。

池上政幸(いけがみ・まさゆき)

最高裁判所のサイトでプロフィールを見る

生年月日:1951年8月29日(63歳)
任命された年月日:2014年10月2日

宮城県生まれ。東北大学法学部卒業。検察官出身で、法務省大臣官房長、大阪高等検察庁検事長等を歴任。

山本庸幸(やまもと・つねゆき)

最高裁判所のサイトでプロフィールを見る

生年月日:1949年9月26日(65歳)
任命された年月日:2013年8月20日

福井県生まれ。京都大学法学部卒業。通商産業省、在マレーシア日本国大使館書記官、内閣法制局長官等を歴任。

山﨑敏充(やまさき・としみつ)

最高裁判所のサイトでプロフィールを見る

生年月日:1949年8月31日(65歳)
任命された年月日:2014年4月1日

大阪府生まれ。東京大学法学部卒業。最高裁判所事務総長、名古屋高等裁判所長官、東京高等裁判所長官を歴任。


最高裁判所裁判官国民審査公報は⇒こちら
(各裁判官の略歴や最高裁判所において関与した主要な裁判でどのような意見を述べたのかが掲載されています)



Photo by Ryosuke SekidoCC BY 2.0

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