東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

仲井真・沖縄知事 退任直前 申請を承認 

 沖縄県の仲井真弘多(なかいまひろかず)知事は五日、米軍普天間(ふてんま)飛行場(宜野湾市)の移設先、名護市辺野古(へのこ)沿岸部の埋め立て工事に向け沖縄防衛局が申請した工法変更三件のうち、二件を承認した。辺野古移設を推進する仲井真氏の任期は九日まで。退任直前の判断に、辺野古反対派の稲嶺進名護市長は「許されないし、県民は納得しない」と強く批判した。

 辺野古反対派で十日に就任する翁長雄志(おながたけし)次期知事は「残念だ。今後は新しい知事として私が判断し、沖縄の民意を示す」と述べた。仲井真氏は「審査が終了し、承認基準に適合していると報告を受けた」とのコメントを出し、法律に基づいて承認したことを強調した。

 沖縄では衆院選の全四小選挙区で、辺野古移設容認派の自民党候補と反対派候補が争う構図となっており、影響が出る可能性もある。

 二件は工事用仮設道路や埋め立て地を仕切る護岸を追加する変更申請。工法変更により、辺野古阻止を公言する稲嶺氏の許可などが不要となる。稲嶺氏の抵抗を回避し、埋め立てを円滑に進める狙いがあるとみられる。

 残る一件の埋め立て土砂の運搬方法変更は、内容に疑問点が多く審査が間に合わなかった。九月の申請後に取り下げた移設先の河川の切り替えルート変更も、防衛局は再申請する考え。

 翁長氏にこれら二件の判断が委ねられる見通し。今後の移設事業が円滑に進むかどうかの鍵は翁長氏が握ることになりそうだ。

 十一月十六日の知事選で仲井真氏に圧勝した翁長氏は、辺野古移設阻止に向け「知事権限を行使する」との立場から、四件すべての可否判断を自身に委ねるよう求めていた。

 <普天間移設問題> 沖縄県宜野湾市の市街地にある、米軍普天間飛行場の移設をめぐる問題。1995年の米兵による少女暴行事件を機に日米両政府が96年4月、普天間返還で合意した。日本政府は、99年12月に名護市辺野古への移設を閣議決定、2013年3月に辺野古沿岸部の埋め立てを県に申請した。仲井真弘多知事は13年末、埋め立てを承認し、沖縄防衛局が今年8月に海底ボーリング調査を始めた。年明け以降に埋め立てに着工する予定だが、県外移設を求める県民の反発は根強い。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo