仲井真知事:普天間移設で防衛局申請2件許可 退任目前
毎日新聞 2014年12月05日 20時10分(最終更新 12月05日 21時17分)
沖縄県の仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事は5日、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設に向け、沖縄防衛局が県に申請していた工法変更3件のうち2件を承認した。11月16日の知事選で移設推進を訴え、辺野古移設反対派の翁長雄志(おなが・たけし)氏に敗れた仲井真氏が9日の退任目前に下した判断に、移設に反対する県民から強い批判が出ている。
防衛局の工法変更申請については、仲井真氏に約10万票の差をつけて当選した翁長氏が「判断は私に任せてほしい」と求めていた。
仲井真氏が承認した2件は、埋め立て地を仕切る護岸追加と工事用仮設道路の追加。移設に反対する名護市の稲嶺進市長との協議が不要になるよう、防衛局が市の権限が及ぶ区域の作業を避けるために工法変更を申請したとみられている。
残る1件の埋め立て土砂の運搬方法の変更は県の審査が終わっておらず、判断には時間がかかる見通し。防衛局は9月の変更申請後に一旦取り下げた河川の切り替え工事変更を再申請する方針で、この2件は10日に着任する翁長氏が判断することになりそうだ。
仲井真氏は5日は登庁せず「標準的な処理期間の44日間を大幅に超過しており、判断するべき時期に来ていると考えた。審査が終了し、承認基準に適合しているとの報告を受け承認した」とのコメントを出した。【佐藤敬一、福永方人】
◇佐藤学・沖縄国際大教授(政治学)の話
工法変更は辺野古移設を巡る重要な手続きで、知事選で大敗した退任直前の現職が判断していいわけがなく、当然新知事に任せるべきだ。仲井真氏は県民感情を無視し、官僚的としか思えない。手続きを進めて辺野古移設に反対する県民をあきらめさせようとしているのかもしれないが、かえって県民の怒りが増すだけだ。衆院選の自民党候補者にとってマイナスになるだろう。