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 世界遺産・原爆ドーム(広島市中区)の健全度調査が5日、始まった。1915年に広島県物産陳列館として完成し、建物は来年で「100歳」になる。広島市は、熱線や爆風をしのぎ、原爆の惨禍を伝えてきた「生き証人」の壁面や鉄骨の劣化状況を調べる。

 市が3年に1度行っている「定期健診」で、今回が8回目。敷地内に足場を組み、亀裂や地盤沈下の有無▽建物の傾き▽外壁の透水性――などを確認する。

 5日は午前8時半から周辺に足場となる資材をクレーンで運び込んだ。調査が終わる来年3月まで、原爆ドームは足場やシートで覆われ、見えにくくなる。

 原爆ドームは南海トラフ巨大地震で想定される最大震度6弱の揺れで損傷する恐れがあることから、今回の調査とは別に、市は来年8月に催す被爆70年の平和記念式典後、初の耐震補強工事をする方針。(岡本玄)