携帯基地局訴訟:差し止め訴えた住民側、控訴審も敗訴
毎日新聞 2014年12月05日 11時42分(最終更新 12月05日 12時30分)
◇健康被害と電磁波の因果関係「立証は不十分」高裁宮崎支部
携帯電話基地局からの電磁波で健康被害を受けたとして、宮崎県延岡市の住民が携帯電話大手のKDDI(東京)を相手取り、基地局の稼働差し止めを求めた訴訟の控訴審判決が5日、福岡高裁宮崎支部であった。田中哲郎裁判長(佐藤明裁判長代読)は、請求を棄却した1審・宮崎地裁延岡支部判決を支持し、住民側の控訴を棄却した。
判決は1審判決と同様に、住民に頭痛、耳鳴りなどの症状が出ていることを認めたが、電磁波との因果関係については「健康被害を生じさせるほど電磁波が強力だとまでは認め難く、医学的、科学的観点からの原告側の立証は不十分」とした。
控訴審では、住民側が、強い電磁波を音や耳鳴りとして感じる「マイクロ波ヒアリング効果」によって、周辺住民に頭痛、耳鳴りなどの健康被害が出ていると主張。KDDI側は「電磁波と住民が訴える症状との因果関係に根拠はない」として争っていた。
問題となっている基地局はKDDIが2006年、延岡市大貫町の住宅街にある3階建てアパートの屋上に建設し、同年中に稼働させた。周辺住民が耳鳴りなどの症状を訴え、主に基地局の半径200メートル内の住民で構成する「大貫5丁目KDDI携帯基地を撤去する会」(岡田澄太代表)などの19世帯30人が09年12月、宮崎地裁延岡支部に提訴した。
12年10月の1審判決は、住民の症状は「電磁波への不安が影響している可能性がある」などとして請求を棄却していた。【尾形有菜】