衆院選情勢:優勢自民、引き締め…野党、打開へ躍起

毎日新聞 2014年12月05日 07時30分

 衆院選の序盤情勢を探る報道各社の世論調査を受け、圧倒的優位が伝えられた自民党は各地の陣営の引き締めに乗り出した。一方、民主党はじめ野党は危機感を強め、局面を打開しようと躍起になっている。

 安倍晋三首相は4日、自身のフェイスブック(FB)に「選挙は油断した方が必ず負ける。最後まで強い緊張感を持って全力で戦い抜く」と書き込んだ。

 自民党は朝一番で谷垣禎一幹事長と茂木敏充選対委員長連名の緊急通達を候補者らに出し、「選挙期間中に逆風が吹き、一瞬のうちに有利な形勢が逆転した例は多くあった」と慢心しないよう呼びかけた。同党幹部は「うちに追い風が吹いているわけではない。キツネにつままれた感じだ」と語る。

 公明党の山口那津男代表も「報道で陣営に油断が出れば、たちまち形勢は逆転する」と記者団に述べた。党内では、連立政権で公明党の存在感が低下しかねないとの見方も出ている。

 一方、民主党は4日、接戦が予想される選挙区を集中的にてこ入れする方針を決めた。同党は候補者が198人とこれまでの選挙より少ないうえ、維新の党など野党4党との共闘も、調査結果を見る限り、功を奏していない。同党幹部は「まだ投票先を決めていない有権者が多いので、なんとか取り込みたい」と焦りを募らせる。

 海江田万里代表は石川県志賀町で「態度を決めていない人も多いのでこれからが勝負だ。必ず挽回する」と記者団に語った。

 維新の橋下徹共同代表は鹿児島市の街頭演説で「今回は自民党が圧勝するだろう。それでは、増税しながら国会議員だけが左うちわのばかげた国になる」と逆説的に危機感を訴えた。

 東京・内幸町の日本外国特派員協会で記者会見した生活の党の小沢一郎代表は「安倍内閣に不満を持つ国民は多い」としながらも、「野党各党が一体で受け皿を作れたら政権交代が可能だった。大幅な打開は難しい」と情勢の厳しさを認めた。【影山哲也、飼手勇介】

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