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【産経抄】
12月6日
北海道へ行く楽しみが減ってしまう。JRは来春のダイヤ改正で、上野-札幌間の「北斗星」を廃止するという。ブルートレインと呼ばれた客車寝台特急は、臨時を除き列島から全て消える。
▼北海道新幹線開通へ向け青函トンネルを改修するため、だそうだが、もったいない。おおげさにいえば、日本が誇る鉄道文化の衰退につながりかねない。
▼鉄道オタクを自任する石破茂地方創生担当相には、地方活性化のため存続に一肌脱いでもらいたいが、難しかろう。ならば、一刻も早く上野から北を目指すとしよう。札幌には訪ねたい大学もある。
▼元朝日記者の植村隆氏が、非常勤講師を務める北星学園大学である。植村氏は平成3年、「『女子挺身(ていしん)隊』の名で戦場に連行された」という元慰安婦の証言を記事にした。客観性を欠いたずさんな記事であり、小紙は「歴史戦」(産経新聞出版)などで、「明らかな事実のねじ曲げ」と指摘してきた。
▼小紙記者が学園を訪ねて取材をお願いしても応じていただけなかったが、いまの彼の境遇には、心から同情申し上げる。朝日新聞が、慰安婦報道の検証記事を掲載した8月以降、学園には「彼を辞めさせないと学生に危害を与える」といった脅迫が相次ぎ、逮捕者まで出た。学問の自由をうんぬんする以前の卑劣な行為である。
▼人情紙のごとし。学園は、警備費増などを理由に契約更新を渋っているという。この際、彼も逃げ回らずに記者会見を開いて真情を吐露してはどうか。「彼ら(安倍晋三首相ら)は脅迫によって歴史を否定しようとしている」「朝日は私を守ることを恐れすぎている」と、ニューヨーク・タイムズに語ったように。昨日新体制となった朝日が、どう報じるか見ものである。