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堀込泰三堀込泰三  - ,,,  10:00 PM

適切なフリーランス料金を決めるための鉄則は、クライアントの思考プロセスを理解すること

適切なフリーランス料金を決めるための鉄則は、クライアントの思考プロセスを理解すること

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フリーランスとして初めての仕事をいただいたとき、料金をどう決めたらいいのかわかりませんでした。高すぎればがめつい印象を与えてしまうし、安すぎては生活していけないし。あれから2年。ようやく、クライアントと私の双方にとってベストな料金設定のコツがわかってきました。


フリーランサーは大局的に見るのが苦手


私はウェブデベロッパーです。多くの同業者が、現在または過去の給料をもとに料金を決めています。給料はそのまま市場価値を意味するので、それを料金設定の基準にするというのは、一見妥当なように感じます。でも私は、それが間違いであることに気がついたのです。

フリーランサーの多くが、大局的な視点で物事を見られていません。料金設定に必要なのは、クライアントの予算にあなたの仕事が見合うかどうかを把握すること。クライアントの予算は知ることができても、その予算がどうやって組まれたかまではわかりません。ではいったい、予算とあなたの仕事の関係はどうなっているのでしょう?


Acme社の場合


説明のために、かんたんな例を示します。サリーはAcme社のCTO。ある日、最大の得意先であるワイルから電話が入りました。速乾性のセメントを今日のうちに届けてほしかったのだが、昨日注文しようとしたら、ウェブサイトが停止していて注文できなかったとのこと。ワイルは業者の乗り換えをちらつかせて脅してきますが、そうなってしまったら、会社にとって何千ドルもの打撃です。

でも、ウェブサイトが落ちていたのはAcme社のせいではありませんでした。同社のサイトは「Jeroku」にホストされていて、そのJerokuがメンテナンスを始めたため、Acme社のサイトが停止したのです。そこでサリーは、Jerokuからの引っ越しという、苦渋の決断を下すことにしました。

実は、サリーに警告を示すようなサインは、何カ月も前からありました。Jerokuには月1万ドル以上の大金を支払っているにもかかわらず、機能停止が頻繁に発生していたのです。サリーは早々にサイトを引っ越さねばならないと考えていたのですが、なかなか決断できずにいました。なぜならAcme社には、専属のウェブデベロッパーがいなかったのです。でも、今回はやると決めたからには、すぐに終わらせたい。そんなときこそフリーランサーの出番です。サリーはビルというフリーランサーを見つけ、見積もりを依頼します。まだ駆け出しのビルは、作業にかかる時間に応じて請求することに決めました。

ビルは前職において、次のような待遇で働いていました。


  • 年俸7万ドル
  • 健康保険
  • 有給休暇3週間分+土日休み


ビルは、ここから逆算して、フリーランス料金を決めることにしました。


(年俸7万ドル+健康保険2万ドル)÷(49週×40時間)≒時給46ドル

これで、ビルの時間単価が決まりました。

ビルの経験上、Jerokuからの引っ越し作業には2週間ぐらいかかることが見込まれます。そこで、3700ドル(40時間×時給46ドル×2週間)の見積もりを出したところ、サリーは即決。商談成立となりました。

ビルは気がついていませんが、実は彼、大金を逃したことになります。企業がお金を払うのはソリューションにであって、時間にではないのですから。

サリーは、Jerokuを継続すれば月に1万ドルがかかることを知っていました。つまり、月末までにJerokuからの引っ越しが完了すれば、その月だけでも1万ドルの節約になり、その後もずっと、毎月1万ドルを節約できるのです。これを踏まえ、サリーはこの引っ越し作業には1万ドルを用意していました。でも、ビルから出てきたのはそれを大きく下回る3700ドルの見積もり。つまり、サリーにとって、考えるまでもない決断だったのです。

サリーが考えていたのは、会社にとっての節約額。ビルが考えていたのは、自分が稼ぐべき金額。もっとかんたんに言うなら、サリーはソリューションに、ビルは時間に注目していたのです。


データ収集が肝心


そこで、Acme社への見積もりをやり直しましょう。見積もりを出す前に、サリーから2つのことを聞き出さなければなりません。


1. 何が課題か:これは、詳しければ詳しいほどいいでしょう。その課題にどの程度のお金がかかっているかを、できるだけ詳細に把握してください。裏返せば、課題が解決されたらどれだけの金額が浮くのかを知るのです。今回の例では、Acme社がJerokuを継続する限り、年間12万ドルが出ていくだけでなく、サイト停止による損害が増えることが予想されます。

2. 予算はいくらあるのか:ずばり「予算はどれくらいですか?」と聞いてしまってOKです。回答が得られなければ要注意。そのクライアントが、自社のキャッシュフローを十分に考慮していない証拠です。その場合、料金をきちんと支払ってくれるかどうかもあやしいと考えていいでしょう。細かい数値まで知る必要はありませんが、だいたいの予算は聞いておく必要があります。これに関して、「37Signals」のJason Friedが素晴らしいヒントを紹介しています。


なかなか口を割ってくれないなら、「10万ドルでいかがですか?」と尋ねてみましょう。相手は、すぐにこう答えるに違いありません。「10万ドルは厳しいので、3万ドルぐらいでいかがでしょう」と。これぞ、先方が考えている予算なのです。


予算に応じて料金を決める


あなたはウェブデベロッパーとして似たような仕事を請け負ったことがあり、今回の課題も確実に解決できると仮定します。その場合、相手の予算が1万ドルなら、8000ドルの料金を提示してみてください。納期厳守で仕事を終えるので、翌月以降1万ドルの節約につながると、相手のメリットを伝えるのです。

ビルの見積もりは3700ドルでしたが、あなたは同じ作業で、2倍のお金を手にすることができるようになりました。それもこれも、クライアント目線で課題をとらえ、予算についての質問をしたおかげです。

クライアントが気にするのは解決策だけ。私は長い間、ビルと同じで、作業時間に応じた請求をしていました。でも、今ならわかります。クライアントが気にするのは、解決策だけであると。

クライアントと仕事をするなら、このことを肝に銘じる必要があります。クライアントの思考プロセスを理解することで、自分の提供する価値や、請求方法がより明確になります。さらに大事なことは、契約を長く継続できること。適正な料金設定に悩んでいるのであれば、ぜひお試しを。


Stop Leaving Money on the Table with Your Freelance Rate | Ryan Castillo

Ryan Castillo(原文/訳:堀込泰三)
Image adapted from Thatsaphon Saengnarongrat (Shutterstock).

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