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『空気を読まない中杜カズサ』のサブブログ。ニュースなどについての短文中心。

衆院選自民党優位の報道は自民党にとってプラスになるかマイナスになるか

 

12月14日衆院選前の各種報道機関における世論調査では、軒並み自民党が300議席を伺う勢いと、与党優位の報道が出ています。

「自民300議席」予測の衝撃 野党連携の効果見えず - 選挙:朝日新聞デジタル

自民、300議席うかがう 衆院選序盤情勢  :日本経済新聞

 

さて、選挙前にはこの手の議席予測が出ますが、このような予測、はたして選挙時にとってはどちらに優位に働くのでしょう。今回のケースを例にとって少し考えてみようと思います。

 

優位報道された自民党のメリット

まず、自民党側のメリットとしては勝ち馬に乗りたいと思う人が投票するという、いわゆる「バンドワゴン効果」が起きて、この予想数値通り、さらにはそれ以上に票が集まるという現象が起きる可能性があるということ。

これは個人というより、政治(政治家)と何らかの関係のある組織、団体が投票前に支持を申し出て、恩を売るというほうがはるかに大きいでしょう。

【衆院選2014】「バンドワゴン効果」で自民優勢が加速? - 産経ニュース

また、「この選挙は勝てる」となると、身内で活動する人にとっても士気が上がるという面があります。そら明らかな負け戦より勝つ方がやる気が起きますね。

 

優位報道された自民党のデメリット

では、優位報道された自民党のデメリットは何か。これはどの選挙でも言えることですが「油断」です。

今までの選挙で、本命安泰扱いされていたのに、「大丈夫」という安楽ムードが広まった結果、活動員が動かずに、結果まさかの敗北を喫した例というのは数多くあります。そのまさかがあるのが選挙なので、この気の緩みというのは選挙で一番警戒されるものです。実際、すでに幹部はこの報道で気を緩めないようにと引き締めを計っているようですし。

衆院選情勢:優勢自民、引き締め…野党、打開へ躍起 - 毎日新聞

ただそれでもあんな300議席とか多くの新聞で一斉に出てしまった結果、足を棒にして電話かけまくって苦労しなくても大丈夫、という人が増える可能性はあるでしょう。逆に対立候補のほうは(特に僅差の選挙区は)挽回しようと余計運動量を増やす可能性があります。

故に、必ずしも選挙の対象予測がプラスに働くとも限らないわけです。

 

現状の政治状況における特別事情

しかし、昨今の政治状況ではもっと考慮しなければいけないことがあります。それは、現在の政権が自民党単独政権ではなく、公明党との自公連立政権ということ。

しかし、これは前回の選挙の時にも、あまりにも自民党か勝ちすぎると、公明党の存在意義が薄くなってゆくというのは言われました。実際、自民党の支持者からも公明党を切り離したいと思っている声はあるようですし。となると自民だけで議席を取り過ぎるとパージされる危険がないとも言えないわけです。まあパージは選挙得票や地方議会のこともあり可能性は低いでしょうが、ともあれいつでも自民だけでやってゆけるという状況になると、発言力が低下する可能性は大いにあり得ます。

内心では公明党はあまり自民党に大勝させるよりは、公明党がいて保てるラインで勝ってくれるのが望ましいと思われるわけです(そりゃもちろん自分のとこの党が勝つのが一番でしょうが)。となると、この自民大勝ちの報道は公明党にとってあまりプラスにならないと思っても不思議ではないでしょう。

 

となるとどうするか。あくまで推測ですが、今後選挙まで公明党の支持者における自民党支援の勢いが弱まるかもしれません。すなわち与党が負ける可能性があまりない以上「調整」が入り、そこまで大勝ちしないようにすると。

先日公明党の高木幹事長代理が以下のようなコメントを出していますが、これを深読み(まあ邪推になりますが)すると、つまりは自民党への支援比率を落とせというサインを無言のうちに送ったとも考えられます。

「自民党だけが勝つと大変だ」公明・高木幹事長代理 - 選挙:朝日新聞デジタル

そこまでしなくても、公明党の人が小選挙区で出ている、または比例区で公明党の伸びしろがあるところに、自民の支援をしていた人材を回すという可能性はあるでしょう。まあそういう意図がなくても、同じように公明党の影響を考えている支持者がいたら、自民党に対してそう思っても不思議ではないかと。

そうなると、自民党に対しての支援運動の勢いが弱まり、結果として報道がマイナスになるという可能性もあり得ます。

 

次期国会の憲法改正問題はどうなるか

余談ですが、今回の各種報道機関における選挙予想の多くでは、主に維新、次世代の党の議席が大幅に減り、その分が比例では主に共産、民主に多く、そして公明、自民にも現行議席からのプラス恩恵があるかもと言われています。しかし、去年あたりに憲法改正問題が論議された時にも揉めてましたが、もともと公明党は歴史的経緯から憲法改正には消極派です。今は加憲という方針を打ち出しているようですが、やはり自民と隔たりはあるでしょう)。公明党が消極的な上、さらにもし賛成しても憲法改正は次に必要な衆議院議員の2/3に届かない現状、どうするのかというのが話題となりましたが、その時に憲法で同じ方向性の維新の党(当時まだ分裂前)、みんなの党との連携の可能性が報道されていました。

しかし今回、維新や次世代といった政党が減少と予測され、逆に消極的な共産が倍増の勢い、そして公明も微増傾向と、改憲反対派が精力を増すことになります。故にこれも議席数次第になりますが、今度の国会では改憲論争自体事実上のストップがかかる可能性があるかもしれません。まあまた民主がいきなりこの問題で組めばアレですが。

 

選挙は投票箱を開けるまでわからない

まあ、結論からすると、「結果見ないとわかんね」なんですけどね。今までどんなに選挙のプロが予測してきたって、大きく外してきたことは何回もあるわけで。

本当に選挙ってそういう「天変地異」とか「天の声も変な声になる」ことが非常によくあるものですので。

 

ともあれ、今度の選挙で衆議院構成が最長4年固まってしまう可能性も高く、その4年が勝った政党に委ねられるわけで、選挙には必ず行くことをオススメします。1票と0票には天と地の違いがあるので。