70年代のサイケなSFからインスパイアされたデジタルインスタレーション! 元AntiVJのRomain TardyがプロジェクションマッピングやLEDを駆使した「MGNTRN」

2014.12.04 Thu

 

「MGNTRN」
concept/de/ani: Romain Tardy|m: Squeaky Lobster|software develop/engineer: Maya Benainous, Cyril Laurier|ex pr: Carmen Ortega Casanovas|cd: Manuel Alcalá|dop: Vicente Pouso|ex prod co: ARCA
立ち上げメンバーに名を連ねていたAntiVJから2013年いっぱいで脱退し、現在はフリーランスとして活動している、30歳のフランス人メディアアーティストRomain Tardy(ロマン・タルディ)。以前ご紹介した「The Ark」のように、彼は光と音のインスタレーションの可能性を押し広げ続けている。このたび、メキシコ、プエブラにて、2014年6月9日から11日まで開催されたデジタルアート・フェスティバルProyecta Puebla 2014で彼が発表した新作インスタレーション「MGNTRN」をご紹介しよう!

プロジェクションマッピング、LED、アニメーションが組み合わさった巨大なデジタルインスタレーション「MGNTRN」。2013年に設置されたプエブラの新名所といえる観覧車Estrella de Pueblaを背景に、レーザー加工によって削り出された巨大で繊細な彫刻がプロジェクションのスクリーンとして使われ、さらには観覧車までもが光に包まれる!

「Proyecta Puebla 2014」メイキング映像
「MGNTRN」をはじめとした、「Proyecta Puebla 2014」出展作品のメイキング映像。
「MGNTRN」の壮大で幻想的なエレクトロサウンドは、タルディ氏が前作「The Ark」でもタッグを組んだ、ベルギー人サウンドコンポーザーのSqueaky Lobster(スクイーキー・ロブスター)によるもの。デジタルな質感を全面に押し出した8chのサウンドに乗せて、宇宙空間の深淵さと壮大さが紡がれる。

本作は、ジャズミュージシャン/詩人/思想家として活躍したSun Ra(サン・ラ)主演のカルトSF映画「Space Is the Place」(1974年)をはじめとした、1970年代のサイケデリックなSFをリファレンスとし、宇宙と時空を巡る幻想的な旅へとオーディエンスを誘う世界を作り上げている。

「星空、ブラックホール、カワイイキャラクター、レトロフューチャーな宇宙船、そしてビンテージなアーケドゲームが、野外で行ったこのオーディオビジュアル・インスタレーションの精霊なのです」(ロマン・タルディ氏)

観覧車のLEDを操作するロボットのテスト。手元のiPadからコントロールする仕組み。
LEDのコントロールなど、ソフトウェア開発を担当したのは、バルセロナのインタラクティブプロダクションHand CodedのMaya Benainous(マヤ・ベナイノウス)とCyril Laurier(シリル・ローリエ)。「MGNTRN」のあらゆる光をコントロールし、タイムライン上でシンクロナイズさせるためのソフトウェア「Ledotron」を開発した。また、観覧車の光は、Arduinoで動かす小さなロボットがフィジカルに操作している。制作現場の写真がHand Codedのサイトにアップされているので、ぜひ覗いてみよう!

なお、タイトルの「MGNTRN(Magnotron=マグノトロン)」は、1974年に発売された宇宙をテーマにしたピンボールゲームから拝借している。これは、1931年にフリップ付きピンボールゲームを発明したゴットリーブ社の筐体で、70年代のピンボールゲームの背景画において最も知られているイラストレーターGordon Morison(ゴードン・モリソン)が描いたものだ。
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