京都地裁の裁判員裁判の公判前整理手続きで昨年4月、精神鑑定を行った男性医師が、被告だった30代の女性を全裸にして身体検査していたことが7日、分かった。女性の弁護人だった古川美和弁護士は「人権を軽視しており、性的虐待に当たる」と批判している。
古川弁護士によると、精神鑑定は弁護側が請求し、地裁が男性医師を鑑定人に選任していた。医師は昨年4月19日、大阪市内の病院で身体検査を実施した際、女性に下着を脱ぐよう指示し、前後から観察した。拘置所の女性職員2人が立ち会ったという。
医師が作成した精神鑑定書には、全裸検査をしたとの記載がなかった。医師は、女性の承諾があったとした上で「成育状況と生傷の確認に必要だった」と説明しているという。
日本司法精神医学会の事務局長を務める五十嵐禎人千葉大教授は「精神鑑定で身体検査をどのように行うかは、医師の臨床経験に基づく裁量に任されている」とした上で「人権やプライバシーを保障する具体的なルール作りについては今後の議論が必要」と話した。(共同)