「まばたき」をしている間に目の前の世界が変わったら・・。
幼い頃からずっとそんなことを思っていた。
忘れた頃に思い出しては、不思議と不安が混ざり合い何とも言えない気分になった。
「まばたき」の速さは平均で100 - 150ミリ秒らしいのでその間に大きな変化があることはないのかも知れないが、それでも目を閉じた一瞬の暗闇があったことは事実である。
絵本『まばたき』を読んだ。
読み終えた時、息を止めている自分に気がついた。
文と絵が見事に調和している素晴らしい絵本だと思う。
穂村弘さんが書かれた文はこの絵本1冊の中に「19字」しかないのだが、それだけで十分伝わってくるものがある。酒井駒子さんの絵は可愛らしいのにどこか切なくてそれがまた私をぐっと惹きつける。
ちょうちょが飛ぶとき。
鳩時計が時を告げるとき。
猫が動きだすとき。
角砂糖が紅茶に溶けていくとき。
その一瞬一瞬が美しい。
そして少女に呼びかけたとき。
本が風に吹かれてぱらぱらぱらとめくられていき、最後にパタンと閉じたようなそんな景色が見えた。
この絵本の余白と真っ白いページはただの「白」ではなく、読み手に何かを感じてもらう時間なのだろう。
とても良い絵本だった。
きっとあなたも読み終えた時に一瞬息を止めると思います。
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12月26日まで青山ブックセンターで原画展が開催されているようです。
酒井駒子先生『まばたき』原画展、青山ブックセンターにて開催!| 岩崎書店ホームページ
絵本に角砂糖が出て来るのですが、以前に角砂糖のエントリを書いています。
酒井駒子さんの絵本ではこちらが大好きです。
□ちゃん(しかくちゃん)がとにかくかわいい☆