兵庫県の野々村竜太郎元県議(47)=辞職=が政務活動費で不自然な支出を繰り返していた問題で、兵庫県警は18日、虚偽公文書作成・同行使容疑で、兵庫県西宮市の野々村氏の自宅などを家宅捜索した。
多数回にわたる日帰り出張費を支出し、記者会見で号泣して海外からも批判を浴びた問題は刑事事件に発展。県警は実態解明には任意での資料提出を求めるのではなく、強制捜査が必要と判断した。今後、押収した資料を分析し、野々村氏から事情聴取するとともに詐欺容疑での立件も視野に捜査を進める。
野々村氏は18日朝、政務費1834万円について「全額一括返納いたしました」とするメールを県議会事務局に送った。入金の確認は23日以降になるため、実際に返納されたかは不明。
収支報告書によると、野々村氏は2013年度に東京、福岡、城崎温泉と佐用町の4カ所への日帰り交通費として、195回分、計約300万円を政務活動費から支出。大量の切手代の計上などほかにも不適切な支出が指摘されていた。野々村氏は議会の調査に「記憶にない」「分からない」と詳しい説明をしていなかった。
捜査関係者によると、県警は既に金融機関へ野々村氏の口座照会をしており、振り込まれた政務費について捜査。金券ショップや自宅近くのスーパーに捜査員を派遣し、実際に購入した商品と収支報告書との整合性も調べている。
捜索容疑は県議だった昨年11月、県立高校での会合に参加していないにもかかわらず、政務費の収支報告書に往復の電車代360円を記載して、県議会事務局に提出した疑い。
野々村氏は11日に議員辞職し、県議会が同日、刑事告発していた。(共同)