世界の中の日本

大学にとって必要悪以下のAO・一芸入試学力のない学生を大学に入れることの危険性を認知せよ

2014.12.05(金)  伊東 乾

前回記しました東京大学総長選挙ですが、五神真教授が当選されました。

 優れた候補の皆さんの中で信任の票が集まったわけですから、五神教授への付託は大きく、東大総長の責任は重大です。是非ご健闘いただきたいと思いますし、私も一スタッフとして役立つ局面があれば、ぜひ働きたいと思っています。

リーダーに求められる明確なビジョン

東大で合格発表、胴上げの合格者ら

東京大学の合格発表〔AFPBB News

 リーダーに求められるのは、確かなビジョンを示すことですが、それは現在衆院選挙選で掲げられているような、1回の投票を乗り越えればよいとか、たかだか4年の任期の間スローガンとして掲げればいいといったものではありません。

 10年、20年、さらには国家百年の計として成立する高等学術政策の、確かな方向性を示すという意味での「ビジョン」であって、広告代理店が考えるキャッチフレーズとは全く異なるものです。ではいかなるビジョンが必要なのか?

 文藝春秋「2015年の論点100」には、大学改革の課題として、まず、より広範な裾野を持つ教育の問題を記しました。誰の目にも明らかなのは「少子高齢化」「学力低下」など、否応ない現実として今日の日本が直面している状況です。

 そこでどのような対策を立てていくか、具体的な有効性を持つ政策指針を打ち出さねばならない。私がここで「ビジョン」と呼んでいるのは、そうしたものにほかなりません。

 一般に大学には3つの柱があると言われます。

 それは「研究」「教育」「福利厚生」の3つです。研究だけで教育がなければ研究所であって大学ではない、教育だけで研究がなければ学校であって大学ではないとはよく言われている通りです。

 3つ目の福利厚生は多様ですが、生協食堂からサークル活動、学生寮から大学対抗戦、公開講座から学園祭まで、大学が学風とか文化と呼べるものを一番容易に発揮できるのは、実はこの第3の面であることが少なくありません。

 社会では「早慶戦」と呼ばれる慶応と早稲田の野球などスポーツの試合は慶応義塾では「慶早戦」と呼ばれます。それを知ったのは慶応で教えるようになった時ですが、授業もお休みになるんですね。みなで応援に行け!と。

 「研究」「教育」と違う第3の柱が大学のカラーを明確…
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