【ワシントン=矢沢俊樹】米労働省が5日発表した11月分の雇用統計(速報値、季節調整済み)によると、景気動向を敏感に映す非農業部門の雇用者数は前月に比べ32万1千人増えた。増加幅は市場が事前に予想していた23万人程度を大きく上回る。株高などによる個人消費の回復を受け、米労働市場は一段と改善傾向を強めている。
11月の失業率は5.8%で前月と同じだった。同日の改定で、9月分の雇用者数の伸びはこれまでの25万6千人から27万1千人に、10月は21万4千人から24万3千人にそれぞれ上方修正された。雇用者数は月20万人を超える安定したペースで増えており、この3カ月でみると月平均27万8千人と高い水準を維持している。
雇用の改善傾向を受け、市場では米連邦準備理事会(FRB)による利上げ前倒し観測が強まりそうだ。16~17日にFRBが開く米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げを巡る討議が当面の焦点になる。
11月の雇用は生産部門で建設などが伸びたほか、サービス部門でもヘルスケアや金融、小売りといった幅広い業種で増えた。ただ、正規雇用につけずパートを余儀なくされている人などを含む「広義の失業率」は11月も依然として11%台で高止まりしており、雇用回復の質は必ずしも高くないとの見方もある。