堀博昭『白昼夢-肉に堕つ-』
ところで、原作小説『境界線上のホライゾン』を読んでいる(現在Ⅲの下巻)ので、メアリ・スチュアートが出てきた時に、「あ、金髪巨乳の人だ」と思いました(本筋に全く関係なし)。
さて、本年最初のレビューは堀博昭先生の『白昼夢-肉に堕つ-』(クロエ出版)のへたレビューです。なお、先生の前単行本『キス×アス』(ワニマガジン社)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
暗い欲望と純粋な激情が交錯する重厚なドラマと凶悪な快楽陶酔表現が魅力の1冊となっています。
フルカラー番外編を除き、1話・作当りのページ数は16~24P(平均21P弱)と標準的なボリュームで推移。しかしながら、中編作とオムニバスシリーズを巧みに連結したこともあって、非常に読み応えのあるストーリーになっており、更にエロのインパクトの強さによる満腹感にも魅力のある構成となっています。
【多層的で重厚なドラマとして描いた中編作の存在感】
典型的なヒロイン押しかけものである「皇女エレナ」シリーズや、互いに変態性癖の持ち主である男女が愛とエロの力で結ばれる「セイヘキ淑女」シリーズの第1話の様な明るい雰囲気の作品はありますが、表紙やタイトルから想起される通りに今単行本は調教や催眠凌辱を含むダーク&インモラル系の作品群が主軸。
中編「白昼夢」での、特殊な催眠術を利用して、ヒロインを陥れていき、その中で登場人物達の駆け引きがもたらす緊張感を描き込むという手法はクロエ出版での初単行本『烙淫学園』に収録された長編「integral deep」での方法論に近いものを感じるものの、構成力の巧さは今回の方が格段に上。
催眠術というツールを有効に利用しながら超然とした“悪役”として振る舞う中年男性、彼の関わった研究のために錯乱し、無理心中を図った母親のために復讐を誓うヒロイン、彼女と恋仲になりながらその二人の間で揺れ動く中年男性の息子でヒロインのクラスメイトである少年それぞれの立場からストーリーを描き出します。
また、容姿は悪いものの優しい性格の少年が、この事態に茫然自失とし、心を大きく歪めてヒロインへの憎悪を高ぶらせながらも、“へたれキャラ”の様に心を折ること無く、彼なりの“解決策”を見出してそれに邁進するという意味では、少年にとっての成長劇とも言えるでしょう。
全てが黒い欲望と憎悪に塗り潰され、数多くの人間が不幸の泥沼に沈みこんだその先で、この少年が終に果たした負の連鎖の幕引きは、勧善懲悪の爽快さこそ乏しいものの、揺るぎなき決意や侠気に頼もしさを感じさせてくれるものであって、十分に大きなスケールを生かし切った見事なドラマとして完結したと評したいところ。
【“下品さ”でも魅せる美しい表情と端正な巨乳ボディ】
今単行本に限らないですがヒロイン陣は(年齢的に)ハイ・ローミックスの傾向にある作家さんであり、ハイティーン級の美少女さんと20代半ばから30代半ば程度の年齢層の美女さんの両方を投入。なお、熟女キャラ的な濃さこそないですが、大人ヒロインにはしっかりフェロモンを充填するタイプ。
復讐に燃える中編作のヒロインや、気の強い才媛である「セイヘキ淑女」シリーズ第3話の女社長さんなど、嗜虐性を掻き立てることを主眼としたタイプもいれば、おっとり天然系でエロエロ娘な皇女エレナさんや子犬系純情娘な「セイヘキ淑女」第1話のお漏らしOLさんなど、各作品の方向性にマッチした性格設定を施すことで無理なくキャラ性の鮮やかさを出すスタイルと言えます。
一人だけちんまいボディに貧乳さんというロリ系ボディのOLさんが登場していますが、基本的には肉感たっぷりの巨~爆乳とプリプリしたヒップ、むっちりとした太股をお持ちのグラマラスボディの持ち主が登場。
以前は、引きの構図で作画が抜けることがあったり、描線の統制感が弱かったりした時期もあるものの、そのような心配は全く消失しており、密度の高い作画が後述する濃厚なエロ演出・エロシチュエーションの基盤をしっかり形成しています。無論、表紙絵と中身の絵柄は完全互換であるのも安心材料。
なお、中編作の親子や「セイヘキ淑女」シリーズの中年男性など、男性キャラクターを醜悪さや不細工さを以て描くことが多いのは好みを大きく分ける要因でしょうが、それ故にヒロイン達の美しさや凌辱エロの悲惨さが引き立つ要素であるため、この作家さんの作品ではある意味で必須の要素ともなっています。
【過激に突っ走るエロ演出の生む凶悪な陶酔感】
ラブラブHも相応の量で存在しますが、催眠状況に落とし込んで無理矢理従わせた上で快楽に酩酊させる作品が多く、メロメロに蕩けた台詞と共に彼女達が残った正気で嫌悪と憎悪のモノローグを吐き出すために嗜虐性はかなり強め。
和姦においても男性をまんぐり返し?してアナル舐めご奉仕をしたり、足コキしたりとプレイの幅がありますが、催眠という便利ツールを用いる作品群ではその利を活用して様々な行為をヒロインに強制しており、集団凌辱や公開オナニー、売春、首絞めファックなどなど過激なプレイも飛び出してきます。
手数の多さがある分、エロ展開が分割構成になるケースもあるものの、核となるエロシーンには十分な尺を配置しており、多回戦仕様のドライブ感を保ちながらも、抜き所へのタメがしっかりしているのは優秀な構築であると評したいところ。
アナルや性器の結合部を見せ付ける構図を重視し、また子宮内に白濁液を注ぎ込む断面図など、性器描写のストレートなインパクトを十分に含有しつつ、突き出されるヒップや柔らかく変形するバストに存在感を持たせる構図や、ヒロインン肢体を抑え込む様なポージングによって、肢体そのものへの欲望を甚く刺激し続けるのも実用性を下支え。
これらの演出の最高潮を迎えるのが、中出し、もしくは中出し&ぶっかけ混交型を選択するフィニッシュシーンであり、白濁液を注ぎ込まれながら、アクメ顔で獣の如く絶叫するヒロインの痴態を1Pフルでがっつり描き出して、問答無用の抜き所として仕上げています。
ヒロインの肢体描写の上品さと構図の下品さの対比、美女・美少女が半狂乱に悶えるエロと、既存の美点をしっかりと踏襲しつつ、作劇面でのテクニックが非常に高まったことを示す最新刊と言え、個人的には新年早々非常に良い作品に出合えたことを喜んでいます。
「エレナ」シリーズの棚ボタラブラブ感も素晴らしいですが、描き下ろしのエピローグに唸らされた中編「白昼夢~夢みるちから~」はエロ・シナリオ・キャラの三拍子揃った秀作としてお勧めしたい所存。
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