2014年12月05日
『唐物語』の電子テキストを公開しました
平安時代末期の翻訳説話集、『唐物語(からものがたり)』の電子テキストを公開しました。
底本は『松平文庫影印叢書第7巻中世説話集編』(松平黎明会編・平成5年8月・新典社)による松平文庫本です。例によって、翻刻部分はパブリックドメインで、校訂本文部分はクリエイティブ・コモンズライセンス 表示 - 継承で公開します。
松平文庫本『唐物語』:藤原成範:やたナビTEXT
『唐物語』はその名の通り、『白氏文集』や『蒙求』などの漢籍を翻訳し、歌物語形式にしたものです。当時、漢籍はそのまま読めて当たり前のものだったので、こういう作品はそれほど多く残っていません。有名なところでは『蒙求和歌』・『唐鏡』などがありますが、その中でも『唐物語』は完成度が高く、和文として非常にこなれています。
作者は藤原成範(桜町中納言)であるという説が有力です。
成範は平治の乱で殺された信西の子で、連座して下野国に配流になりました。また、高倉天皇の寵愛を受けた小督の父でもあります。
成範や小督の数奇な運命を考えると、漢籍から選択された説話はそれにふさわしいもののように思えます。作者が成範であると断定はできませんが、少なくとも、単なる漢籍からの翻訳ではなく、作者の性格がよく出ている作品だと思います。
よく知られている説話では、『長恨歌』(実際の出典は唐代伝奇の『長恨歌伝』)を元にした、第18話があります。翻訳説話集のため、ほとんどの説話に出典がありますが、『遊仙窟』が張鷟によって書かれたいきさつを語る第9話と人と犬の異類婚姻譚第27話(最終話)は出典不明です。
非常に面白い作品なのですが、読みやすいテキストとして入手できるものが少なく、比較的入手しやすかった講談社学術文庫も絶版のようです。是非ご一読ください。
底本は『松平文庫影印叢書第7巻中世説話集編』(松平黎明会編・平成5年8月・新典社)による松平文庫本です。例によって、翻刻部分はパブリックドメインで、校訂本文部分はクリエイティブ・コモンズライセンス 表示 - 継承で公開します。
松平文庫本『唐物語』:藤原成範:やたナビTEXT
『唐物語』はその名の通り、『白氏文集』や『蒙求』などの漢籍を翻訳し、歌物語形式にしたものです。当時、漢籍はそのまま読めて当たり前のものだったので、こういう作品はそれほど多く残っていません。有名なところでは『蒙求和歌』・『唐鏡』などがありますが、その中でも『唐物語』は完成度が高く、和文として非常にこなれています。
作者は藤原成範(桜町中納言)であるという説が有力です。
成範は平治の乱で殺された信西の子で、連座して下野国に配流になりました。また、高倉天皇の寵愛を受けた小督の父でもあります。
成範や小督の数奇な運命を考えると、漢籍から選択された説話はそれにふさわしいもののように思えます。作者が成範であると断定はできませんが、少なくとも、単なる漢籍からの翻訳ではなく、作者の性格がよく出ている作品だと思います。
よく知られている説話では、『長恨歌』(実際の出典は唐代伝奇の『長恨歌伝』)を元にした、第18話があります。翻訳説話集のため、ほとんどの説話に出典がありますが、『遊仙窟』が張鷟によって書かれたいきさつを語る第9話と人と犬の異類婚姻譚第27話(最終話)は出典不明です。
非常に面白い作品なのですが、読みやすいテキストとして入手できるものが少なく、比較的入手しやすかった講談社学術文庫も絶版のようです。是非ご一読ください。
Posted by yatanavi at 16:13│Comments(0)│TrackBack(0)
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