ほしのこえ再再考
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最終更新日:2012/02/14
Diary
基本的にこの前書いたことと同じことだけど、ほしのこえがウラシマ効果ネタだと思っている人はノボルの主観を客観描写と取り違えているよね。というか、二人が地球で一緒にいるシーン以降、大体5分目から先は、それぞれ別の時間軸の描写しかしていないのだ。基本的にミカコの場面(A1,A2,A3,…)とノボルの場面(B1,B2,B3,…)が交互に描かれる(A1→B1→A2→B2→A3→B3→…)が、ミカコ時間は地球を出発して半年と少ししか経過しないのに対してノボル時間は最終的に8年が経つ。そして、折々にミカコが打ったメールをノボルが受信することでこの二つの場面が結び付けられているのであって、これらは同時に起こっている事態ではない。ラストは二人のモノローグと場面描写が交錯するのでそのように勘違いする人もいるかもしれないが、あれはまさに「思いが時間や距離を超え」ているのだ。
わかりやすく、時系列を整理してみよう。
2047年2月 タルシアン調査隊出発
4月 ノボル、高校入学
8月4日 タルシアン調査隊、冥王星附近でタルシアンと接触
1光年ハイパードライブ後、ミカコがメール(a)を打つ
8月6日 タルシアン調査隊、8.6光年先のシリウス星系へ長距離ワープ
9月16日 ミカコ、惑星アガルタからメール(b)を打つ[ノボル・ミカコ15歳]
タルシアン調査隊、タルシアンと戦闘し壊滅的な被害を受けるもリシテア号生存
冬 ノボル、メールを待つのを止める
2048年8月20日 ノボル、メール(a)を受信[ノボル・ミカコ16歳]
2056年3月25日 ノボル、メール(b)を受信[ノボル・ミカコ24歳]
いかがだろうか。ハイパードライブも長距離ワープも一瞬で行われ*1、1光年や8.6光年を亜光速で移動するわけではない。そのため、二人の年齢は最後まで同じである*2。しかし、ノボルには何年経っても15歳のミカコからのメールしか届かないので彼の中でミカコはずっと15歳のまま。そこを批判のポイントにする人もいるようだ。
まあとにかく、これでマンガ版ラストの(以下ネタバレのため反転)「アガルタでの戦闘からしばらくして、送られてきた救助部隊リストの中にノボル(25歳)の名を見つけて号泣するミカコ(16歳)」という場面は成立し得ないことがわかった。あー、でも、書いてみて分かったけど2056年の段階でリシテア号は未帰還なんだよね。あの戦闘から8年半ミカコがどう過ごしたか、を考えるとけっこう泣ける話かもしれない。
*1:少なくとも、描写からはそのように受け取れる。
*2:正確な誕生日はわからないが。
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