紅く咲く白い薔薇

飼 育

作:ユキヲ さん

学院寮街「クィーンズタウン」は、広大な学院の敷地内に小さな街を形成していた。
4000人を超える大学部・高等部の女子学生と女性職員が暮らしている。南仏プロヴァ
ンス地方をイメージした寮街とそれをとりまく公園は、さながらディズニーランドのよう
なアミューズメントスポットに見えた。生徒達には個々に50u程度の個室が与えられて
おり、「個性の尊重と人格形成」という観点から住環境は完璧なまでにプライベートなも
のになっていた。

午後11時、煌煌と灯かりの漏れる優紀の部屋、大きなソファーの前で、優紀は全裸のま
ま立っていた。麗佳が優紀の体をくまなくチェックしている、顔、首、肩、胸、腕、背中、
腹部、性器、太腿・・優紀は表情を変えずに冷めた顔で虚空を見つめている。

「大丈夫そうね、大切に可愛がってもらったの・・優紀。答えて、あなたが今日会ったご
主人様は、だあれ?あなたの知ってる人?」
「・・・・・おじいちゃま・・・です」
「またか、エロジジイ、そうじゃないかと思った。よっぽど孫にご執心なのね。いいなぁ、
金が唸るほどある人たちって好き勝手できて・・・・。それにしてもあの女、優紀をきっ
とジジイ専用にしてるんだわ。こちらが相手を確認しないとでも思ってるのかしら・・・
でも大したお歴々が顔をそろえているし、随分な人脈をもってるようね」

麗佳は依頼を受けたとき、ペット達に相手の名刺を隠れて盗ませたり、乗った車のナンバ
ーを覚えさせては相手を特定していた。メデューサの依頼人たちはどれも名の通った人物
ばかりだった。

「さて・・と。優紀、今日あなたは街に行ったら何処で遊ぼうと思ってるの?」
優紀の頭の中ではまだ『お使い』の途中だった。
「クラブ・・・「KingJoe」か、ゲーセン「U−com」、多分、ユキちゃんたち
に会えるから・・・・一緒にいる男の子たちと一緒に遊べると思う・・・」
「そんなもんよね、イマドキの高校生が考えてる事なんて。なら、思いっきり遊ばせてあ
げるわ・・優紀!周りを見渡してごらん。今日も「KingJoe」の中はハイテンショ
ン。あなたも雰囲気に飲み込まれて、いてもたってもいられない。踊りたくなってきた、
激しいステップを疲れるまで踏んでイヤな事忘れたい気分。ほら、あなたの大好きな曲が始まった。今日はもうユキちゃん達と会わなくてもいい、疲れるまで思いっきり踊ることに決めた。さあ、優紀、体が勝手に動き出すわ、見られてる、あなた、みんなに注目されてる。踊りなさい、思いっきり、私がいいと言うまで・・・・Let’s dance!」

麗佳がまるでエアロビのインストラクターのように叫ぶと、優紀は激しく体を動かし始め
た。音楽のない静かな自分の部屋の真ん中で、リズミカルにステップを踏んでいる。裸体
で踊る優紀の乳房がかわいくプルプルと揺れている。いるはずもない大勢の観客の視線を
受けて、誘うような視線をあちらこちらに投げかけている。目は死んだように虚ろなクセ
に表情は学校にいるときとは別人のように輝いている。

「なによ、私よりうまいんじゃない?」

麗佳は勝手に優紀の冷蔵庫から出したコーラを片手にソファに腰を下ろす。5分もしない
うちに大粒の汗が優紀の頬をつたい胸や肩に落ちる、体が汗できらきらと光った。
麗佳は優紀に話し掛ける。

「優紀、あなたは私がいいと言うまで、まだまだ踊り続ける。でも、これから私が手を叩
くと、あなたはしっかりと自分を取り戻す。靄がかったあなたの頭の中がすっきりと晴れ
渡り、あなたはいつものあなたに戻る。でも、催眠には、かかったまま。あなたは私の催
眠にかかっていることが気持ちいい、あなたの体が私に操られていることを喜んでいる。
だからあなたは踊り続ける。そしてここはまだクラブの中よ、そして私があなたに話すこ
とだけが目に映る、私の言葉があなたの眼よ。わかったら返事をなさい」
「は・・い」
息を弾ませて、なお激しく満足げに踊りながら優紀は頷いた。冷ややかな微笑みを浮かべ
て麗佳は大きく1回パンっと手を叩いた。なお、優紀は汗びっしょりになって踊り続けて
いる。

「きっ・りゅっ・うっ・さん!」
ソファにどっかと座って、麗佳はおどけた声を優紀にかける。優紀が振り向いた。
「あれぇ、麗佳ちゃん!麗佳ちゃんもクラブなんかにくるんだぁ〜意外!」
すでにいつもの優紀だった。
「ごきげんね、気持ちいい?踊るのスキ?」
「もっちろん、もう今日なんか注目の的!制服なんかじゃなく買ったばかりのお気に入り
の服着てくればよかった。ちょっと後悔!」
「ねえ、注目の的ってここにはあなたと私しかいないよ」
「えっ・・・まさかぁ何ふざけたこと言ってんの?」
踊り続けながら優紀はあたりを見渡す。楽しげな表情が優紀の顔から一瞬で消えていく。
「どうして、いつのまに・・・」
信じられないといった表情が優紀の顔に現れる。
「それでも、あなた踊り続けるのね・・」
優紀も不思議だった。周りから麗佳以外の客が消えた時点で止めようと思いながら体はなおも踊り続けている。大音量の音楽が鳴り響いている、そのリズムに身をまかせていた。
「・わたし・・どうしちゃったの・・体が・・」
意識は麗佳の催眠から一時的にも解き放たれて自由にされているのに、体は依然、麗佳が支配している。息を切らしながら優紀は徐々に冷静さを失ってゆく。
「くくく・・あは、あははは」麗佳はわざとらしく笑ってみせる。
「なにがそんなにおかしいいのよ!」キッと険しい顔で優紀が睨みつける。
「あなた、なんて格好で踊ってるかわかってるの?それがあなたの制服?よく見なさい」
「えっ・・・・・・・・きゃあ〜!な、なによこれ、イヤっ!イヤーッ!」
はじめて自分が裸であることに気がついて優紀は悲鳴を上げた。
「イヤっ!イヤーっ!助けて!先生、西ノ宮先生、お願い助けてーっ」
止めたくても止められずに自分の裸を曝け出して踊り続ける自分に優紀は涙をポロポロこ
ぼして、泣きながら麗佳に助けを請う。苦悶の表情に涙が汗と一緒に光る。
「あらっ、いつのまにかお客さんが戻ってきて、さっきより、いっぱいになってるわ。全
員があなたを取り囲むようにして見てる・・・」
「そ、そんな・・・・」
恐る恐る顔をあげるとクラブ内は人であふれかえっていた。麗佳の後ろにも人垣ができて
いる。優紀は踊るのをやめることもできず、顔をそむけ、うつむいて目を閉じ、口を真一
文字にきゅっと閉めている。垂れた前髪が優紀の表情を隠す。優紀に残された必死の現実
逃避だった。

「無駄よ、私が手を叩くと自然と顔を上げ、前と左右しか向けなくなる」
パンっと小気味よく麗佳が手を叩くやいなや、まるで誰かに無理矢理強いられたようにぐっと顔が上向いた。苦悶の表情がさっきより厳しくなっている。
「優紀、みんながあなたを見ているわ。男たちはいやらしく、女たちは軽蔑した、さまざ
まな視線があなたをさしている、もう一回手を叩くと目も閉じていられない。優紀の目は
しっかりと観客の一人一人の表情を見る。見るたびにあなたは相手が自分の事をどう思っ
ているのか気になって仕方なくなり、やがて相手のどろどろとした暗い心があなたの頭の
中にまるでテレパシーように入ってくる、何人も・・何十人分も・・・」

パンっと再び手が鳴った。開かれた優紀の目は、いるはずもない大勢の観客に向けられ、
沈痛な表情を見せている。
(すげえオンナ、裸で踊り狂ってるぜ、結構いい胸してんじゃん、もっと股ぁ広げろよ!)
(なにあのコ、馬鹿じゃないのぉ。あれ前から良く来てたユウキって女じゃない?目障り
よね、あんなことまでして、この場から消えてってカンジ・・)
「あっ・・・・あっ・・・」
声にならない声が優紀から漏れる。きっと頭の中に渦巻いて流れ込むおどろおどろしい人のエゴの思念の塊に必死に堪えているのだろう。

しばらくのあいだ、麗佳はソファに座って、踊り続けるしかない優紀の表情をうかがって
いた。すでに抗う気力も失せたのか表情はあきらめの色が浮かび、目を真っ赤に腫らしな
がら時折、涙をこぼして羞恥心と闘っていた。
「気持ちとは、うらはらに、あなたの顔は笑顔しかつくれない・・」
パンっと手を鳴らすやいなや優紀の表情が涙目のまま笑顔へと豹変する。苦しげな作り笑顔が麗佳の目からも窺い知れた。

「優紀、私の声が聞こえる?・・・・・どうして欲しい?」
「おねがいぃ、止めて、わたしを止めてよぅ、恥ずかしいよぉ、苦しいの!お願いぃぃ」
笑顔でいながらも、大声で泣きだした優紀の顔を見て麗佳はちょっと可哀相だと思いなが
ら、一方で道化となっている優紀が、とうとう隠しようのない本心から泣いて懇願するさ
まをみて、妙にかわいく思えた。麗佳の冷たく乾ききった心が満たされた瞬間だった。
「ほらほら、泣かないで優紀、落ち着いて。あたりをよぅく見てごらんなさい、ここはあ
なたの部屋よ、あなたと私の二人だけ・・・ホラ!」麗佳が手を叩く。
真っ赤に腫らした目、不安げな表情の上目遣いで、優紀はあたりを見回した。優紀は麗佳
の言う通りここが自分の部屋であることを、やっと認識した。ソファにくつろいで優紀を
見上げている麗佳と、その前で踊っている自分がいた。あの大音量の音楽も消えてそれで
もなお踊り続ける自分が寮の部屋にいる、信じられない光景だった。
「どうなってるのよ、もぉやぁっ!先生ぇ・・おねがぁい・・たすけてぇぇっ止まらない
のぉ、勝手に体が動いてるのぉ、自分でどうしようもないのぉ」
声が震えてる。なぜ、いつのまに自分が部屋にいて、しかも全裸で麗佳の前で踊り続けて
いるのか、優紀は冷静に考える思考を欠いていた。

飲みきったコーラの真っ赤な缶をテーブルに置くと麗佳は部屋の照明の照度コントロール
をゆっくりと絞ってほの暗くした。
「優紀、私の声が聞こえるわね。今、わたしが助けてあげる・・・私だけがあなたを苦し
みから救い出してあげられる唯一の存在。だから私の言うことには、しっかりと耳を傾け
なさい、苦しみから逃れたいと思うのなら・・・・。今から私があなたの両肩を掴んで
『とまれ』っと言うとあっという間に体が踊るのを止めるわ・・・いい?・・・・『とまれっ!』」
そう言いながら強く優紀の両肩を押さえた。その瞬間優紀の体は止まった。
「ダンスは止まった・・・でも今度は全く体が動かない」
ポンっと左肩を叩くと優紀の体は凍りついたようにピクリとも動かなくなった。
「さあ、優紀よく聞いて。私の言うことはあなたの心の意思、なんの疑いもなく心に染み
込んでいく・・・あなたはとても素直に私の言葉を聞き入れる。抵抗する必要はないのよ、
それはまったく自然なコト、だって私の言ってることはあなたの心の声なんだもの。私の声はあなたの思考そのもの・・私の声を聞けば聞くほどリラックスして、心の奥深くまでゆっくりと下りて行く、それはあなたの心が落ち着きを取り戻して冷静に考える力が戻ってきたから・・・。私の声以外なにも聞こえない・・・私の言葉はあなたの意思・・・」
もうこれだけの誘導で催眠状態に戻っている。優紀の目の前に手のひらをかざす。
「目を閉じて・・・呼吸もゆっくりと落ち着いてゆく・・これからあなたの心は、私の言
葉によって、あなたの期待以上に癒される・・・気持ちいい・・とても気持ち良くなる」
麗佳はやさしく囁いた。優紀の全身が上気して、つややかな体が汗でキラキラと光っている。
「優紀、あなたは今苦しみから解放されたのよね。あなたは自分が踊ることが好きだと思っていた、そうよね。そう思っていたのなら声に出して言ってみて、あなたの気持ちよ、『わたしは、踊ることが、好き・・・』」
「わたしは・・踊ることが・・・好き・・・」
「でも優紀、それは誤りだった。踊ることだけでは苦しみだったのよ、よくわかったでし
ょう?体がいうことをきかなくなってた。そのために、あなたはさっきまでとてもつらい
思いをした・・・」
優紀は麗佳に促されて目を閉じたまま、ゆっくりと頷いた。
「じゃあ、なんで踊っていたのかしら?それはね、あなたは周りから注目され見られることがとてもとても好きだったからなの。わかる?あなたは見られるのが好き、あなたは人に見られることがたまらなくスキ・・・さあ」
麗佳は俯き加減になっていた優紀の顎をとって上向かせて迫る。
「わたしは・・・見られる・・のが・・・スキ・・たまらなく・・・スキ・・・」
「あなたの心がそう言っている、あなたの心がそう思ってる。でもさっきまで、そのこと
をすっかり忘れていた、恥ずかしいと思ったのは、あなたが人から見られるのがスキとい
うことを忘れていたから・・・繰り返し言ってごらんなさい、わたしは人から見られるの
がスキ・・・たまらなく・・スキ」
「わたしは・・・人から見られる・・のが・・スキ・・たまらなく・・スキ・・」
「そうね、あなたはあなたのすべてを見てもらいたい。生まれたままの姿を見せることがあなたの心を震わせるくらい最高の幸せ・・・」
「見られるのがスキ・・わたしは・・人から見られるのがたまらなくスキ・・・」
「そう、思い出したら気持ちが軽くなってきた。ウキウキしたいい気分よ、あなたは生ま
れながらのショーモデル、あなたの顔も体もすばらしく美しい。みんな、あなたにあこが
れている。見られることがあなたの宿命、見られることがあなたの生きがい・・・見られ
ることは恥ずかしいことじゃない、見られることは恥ずかくない・・・」
「見・・られる・・ことは・恥ずかしいことじゃない・・見られることは恥ずかしくない」
「ほら、さっきまで見られて恥ずかしいと思っていたことがまるでウソのよう。信じられ
ない、あれだけ多くの人に見られていたのに恥ずかしがった自分はまるで別人。ねぇ、優
紀、今のあなたなら自信をもって堂々と自分を見せることができるわね」
目をつむっていながら、コクっと優紀は力強く頷いた。すでに麗佳の暗示は優紀を変えて
いた。
「ゆっくりと目を開けて・・・・」
優紀の目が開く。
「いまあなたの前に、舞台が広がる。会場は超満員、あなたの美しい体をみたくて集まっ
た人たち。この人たちのためにもあなたはショーモデルとして一生懸命演技する。それを
やり遂げるだけの自信があなたには備わっている。この大舞台を楽しむくらいの自信があ
なたには備わっている。あなたの心は喜びに打ち震えている。さあ、舞台に上がるときが
きたのよ、いい顔をつくりなさい」
優紀は無表情から一転して、嬉しげな笑みを浮べた。さきほどの苦悶に満ちた作り笑顔ではない、あふれるような慈愛にみちた笑顔になった。
「いいわ、みんなの視線を感じる。見せたい、あなたは早くみんなに自分の体を見せたく
てたまらない。でも、あなたはすぐにはすべてを見せない。ゆっくりと時間をかけて全身
を見てもらうの。舞台で一周して何処からでもあなたのすべてが見えるように、そしてゆ
っくりと洋服を脱いでいく。演出はモデルであるあなたにすべて任されている。一番栄誉
なことよ。大丈夫、私が見えないところからどうやるか教えてあげる。あなたは私の言う
とおりに動けばいいのよ、さあ舞台のカーテンが上がったわ、さあ行きましょう!」

優紀をソファの前から誘導し、麗佳はテーブルの上に立たせた。その上で優紀はポーズを
とっていく。先程とは打って変わって羞恥心のかけらも見せないどころか、自信に満ちた
立ち振る舞いは自分が本当にショーモデルだと思っているように思えた。
「そう、いいわよ優紀、さあゆっくりと洋服を脱いで、中につけた水着をみせるのよ。今
年のニューモデルでデザイナーがあなたのためだけにつくったものよ。ほら、両手で胸を
寄せて、そう、胸の谷間を強調して、お客さんにむかって前かがみ・・・音楽にあわせてリズミカルに腰を振ってごらんなさい、あなたはどうやって腰を振ればお客さんを喜ばせることができるか知っている。淫らに・・そういやらしいくらい悩ましげな表情を作って・・・そうよ、いいわ、みんながあなたに、く・ぎ・づ・け!」
優紀はもう麗佳の言葉に何の疑いもなく、いわれるがままにさまざまなポーズをきめてい
く。全裸であるのに脱ぎっぷりは思い切りがいい手早い仕種に見えた。
「しまった、服を着せとくんだった、もったいないことしたなぁ・・。優紀、さあお次は
トップレス!会場のみなさんにいよいよあなたのすばらしい体を見せるときがきたのよ。
あなたは見て欲しくてたまらない。一生懸命、かわいらしく、しかもいやらしく、お客様
にお願いするのよ・・『お願い、わたしを、見て』」
「お願い・・・・私を見てぇ・・優紀の体を見てぇ〜」
なりきっている優紀はなまめかしく体をくねらしながら背中に腕を回し水着の上をはだける仕種を見せながら麗佳に向かって言った。
「ほら聞こえる。見えるでしょ、会場全体がスタンディングオベーションの嵐!優紀、よ
かったわね、みんながあなたを称えているわ!」
優紀の顔は満面の笑みを浮べて舞台となったテーブルの上から四方八方を見渡している。
嬉々とした満足げな表情は、先ほどの自我が戻ったときの表情とまさに対象的だった。麗
佳の催眠に完全に堕とされていた。

「優紀、まだショーはこれからがクライマックス。舞台での全ての演技はあなたにまかさ
れている。さあ、これからあなたは自分のすべてを見てもらうため、思い切ったポーズに
も何の迷いもない。大胆に行動すればするほど、あなたの体の奥から悦びが湧き出てくる。
妖しく、いやらしく、Hに、エロチックに・・・それをお客様も望んでる。それがあなた
には手に取るようにわかる。お客様一人ひとりに心をこめて言ってごらんなさい、あなた
なら言える・・・『優紀は、あなたのもの』」
「優紀はあなたのもの・・・」
「『優紀は、あなたのための奴隷』」
「優紀は・・・あなたのための奴隷・・です」
「『あなたのためだけに、よろこんで尽くします』」
「あなたのためだけに、よろこんで尽くします」
優紀は微笑んだ。すでに麗佳の言葉を疑うことなく言われるがままになっていた。
「『あなたの言いなりになる生き人形です』」
「あなたの言いなりになる・・生き人形です・・・私を可愛がって下さい・・」
麗佳が言わない言葉が優紀からひとりでに出た。すでに優紀が麗佳の暗示下のこのシュチ
ュエーションに嵌まった現われ、悦んで受け入れている証拠だった。
「そう、優紀、自分の気持ちを自分の言葉で言えたのね。さあもっと言ってごらんなさい。あなたは言える、もっと言える・・」
「見て!わたしを見て!!わたしだけを見テぇ〜裸の優紀を見てっ!」
「激しく昂ぶった気持ちはもう優紀には抑えられない。自分で触ってごらんなさい、もう
ヌレヌレじゃない?。優紀、いまどんな気持ち?隠さなくていいのよ優紀、ここで喋った
ことは決して外には漏れない。だから我慢せず、思いっきり大きな声で言ってごらんなさ
い。優紀は今どんな気持ち?自分の体を曝け出すのと同じように、あなたは自分の思っていることを隠すことなく正直に口にするともっともっと気持ち良くなれる・・・」
「したいの・・・・優紀・・ものすごくHしたいのぉ〜」
「すごいわ、優紀。会場はもう割れんばかりの拍手喝采、さあ会場のみなさんにHな優紀をもっと見てもらうためにはどうしたらいいのかな?」
「・・・・・・・・・?」
優紀は切なげな表情で首をかしげた。麗佳は優紀の思考としての言葉を続けて口にする。
「そう、優紀が日頃みんなに隠して一人でやってることをみんなに見せたい・・・・オナ
ニーを見せることはあなたの生まれたままのすべてを見せることよね、そして優紀が大切
に秘密にしておいたことを見せるのは優紀の心の中で最高の悦び、もう自分の秘密は自分
だけのものじゃない、隠さないでネ、みんな曝け出すの!楽しい、ワクワクしちゃう!」
優紀の表情が幼い子供のように無邪気な含み笑いを浮かべ始めた。
「おなにぃ・・うふっ・・うふふふふ・・おなにぃ・・おなにぃ、優紀のおなにぃ・・・」
呆けた表情の優紀はその言葉を聞いて、ギラギラと欲情したなまめかしい女の表情へ急変していく。すでに自分を露出することに抵抗どころか悦びを感じている。
「ねぇ・・優紀のおなにぃ・・見て・・優紀の体・・見て・奥まで・・全部・・ミ・テ!」

テーブルに腰を下ろし、大股開きで胸と股間をなで上げていく。観客の視線を意識して両手で押し広げてパックリと口を広げながら優紀は気だるげに体を反らして微笑んでいる。
麗佳は優紀の背中にポンっと大き目のクッションを挟んだ。もたれかかった優紀はなおのこと両足を大きく広げていく。麗佳は優紀の耳元で囁く。
「優紀、大変時間がないわ、このままではショーが終らないうちに会場の電気が消えてし
まう。急いで!優紀!時間がない、ホラ、声をもっと出して!『優紀が一番気持ち良くなった瞬間を見せるの!優紀が一番気持ち良くなった瞬間を見せるの!』」
「優紀が一番気持ち良くなった瞬間を見せるの。優紀が一番気持ち良くなった瞬間をみせるのぉぉぉ〜!」
麗佳がわざと急かすと優紀の動作はより激しく、声高になった。
「あああぁああ、見て・・見て・・・私だけ・・・見て・・・優紀の・・・やらしいとこ・
・・全部・・・見て・・うれしいのぉ・・優紀見られるとうれしいのぉぉ・・あああああ
ああああああああああああああ」
体が何度も痙攣して優紀はぐったりと横になった。目を閉じて口を半ば開いて肩で息をしている・・・汗と愛液でテーブルはびちょびちょになっていた。
「優紀・・すべてをやり遂げた満足感でいまあなたはとても満ち足りた気分に浸っている。
あなたは生まれ変わったのよ。自分のすべてを見せることが恥ずかしいことではなく『見
せたい、見られたい』と心の底から望む女になったの。でも今はこれを大切にしまってお
きましょう。今日あなたは私のお使いを追えた後、クラブで疲れるほど踊ったのよ。気持
ち良かった、それ以外の事は思い出そうとも思わない」
「・・・はい・・・・・」
「私に会うと、あなたはしまっておいた「見せたい、見られたい」という思いが急に湧き
あがってくる。抑えようと思っても我慢できない。あなたは私に自分を見せたくて仕方なくなる。いい、『優紀は麗佳先生に優紀のすべてを見てもらいたい』」
「優紀は・・麗佳先生に、優紀のすべてを見てもらいたい・・・・・」

「そう・・・じゃちょっと試しに・・っと。優紀、あなたは我に返る・・・起きなさい、
あなたの部屋よ」
パチンと指を鳴らした。その音とともにパチっと目を開いた優紀はあたりを見渡す。
「あれ・・・・?わたし・・・どうしたんだろ?」
「優紀!優紀ちゃん・・」
背後からの声に優紀は振り向いた。
「せんせぇ・・・わたし・・一体・・・」
そこまで言った瞬間、体に電気が走ったようにピクっと優紀が一度目を閉じて身震いした。
やがてゆっくりと目を開きながら麗佳を見つめるその瞳は妖しく濡れて、口元に意味深な
微笑みを浮べる。
「ふふふふ・・・せんせぇ〜・・れいかセ・ン・セ・・・・・」
優紀は四つんばいになって麗佳のもとににじり寄ってくる。
「わたし・・・キレイ?答えて・・・先生・・わたしの裸・・・ミテ・・・」
「えぇ、キレイよ・・ステキ」
「あぁぁ〜うれしいぃ〜・・・・見てぇ〜先生・・・優紀をかわいがってぇ・・・」
優紀は麗佳の足に擦り寄って、まるで猫のように顔や胸を麗佳の腿に押しつけた。
パチンっと麗佳はまた指を鳴らした。優紀の視線が麗佳に釘付けになる。
「眠りなさい・・・・優紀。これからは『優紀はキレイ』と言う言葉でいつでもどこでも周りを気にせず自分のすべてを見てもらいたくなる・・・・」
麗佳の言葉とともにフニャフニャと優紀は目を閉じてその場に崩れ落ちた。
「う〜ん、いじくりすぎちゃったかなぁ・・でもまぁ、いいかな?。優紀、あなたはもう
自分の素直な気持ちを隠すことはできない・・・・いいえ隠さなくていいの、正直に自分
の思う通りに行動できる。あなたは好きな人には例え相手が男でも女でも、全身で愛する
ことができる。年齢も関係ない・・年下でも年上でもあなたはあなたの持っている全ての
知識と行為を何のためらいもなく提供できる・・わかった?」
優紀は体を横たえたまま頷いた。

「あなたは蓮見先生が好きよね、答えて優紀」
「・・・はい・・蓮見先生・・好き・・」
「理由を教えて・・・」
「わたしに水泳部に戻るように・・・熱心に説いてくれて・・・」
「あなた2年生まで水泳部の中心選手だったもんね・・」
水泳部内の妬みやイジメから精神的に疲労した優紀のカウンセリングから麗佳は優紀をペ
ットとして掌中に収めていた。去年までの顧問は優紀の心のスランプを自分勝手ないい訳
と叱咤して、優紀を更に退部へと追い込むほどに傷つけた。
「蓮見先生・・・・私に何度もやさしく戻れって言ってくれた・・・いい先生・・」
「そうね。優紀、蓮見先生もきっとあなたが好きよ。だから優紀は言葉では言い表わせな
いくらい全身で蓮見先生を愛してあげるの・・・あなたは蓮見先生を心の底から愛してる、
愛してる、愛してる、蓮見先生を愛してる、優紀は蓮見先生を愛してる・・・」
「あいし・・・てる・・・愛して・・る・・愛してる・・蓮見先生を・・愛してる・・」
「そう、あなたは蓮見先生ナシの学院生活なんて考えられない」
「・・・考えられない・・・」
「『蓮見先生と愛し合いたい・・・・気持ちイイコトしたい・・・』」
「蓮見先生と愛し・・合いたい・・・・気持ちイイコト・・したい・・・」
「その気持ち・・大切にしまっておきなさい。今は忘れるの、私があなたに『優紀の蓮見
先生』といったら思い出すのよ。よく聞いて・・『優紀の蓮見先生』、この言葉で優紀は
蓮見先生を全身で愛する、一緒に気持ちいいことしたくなる・・そのためにあなたは手段
を選ばない・・・思い切ったことまで簡単にできる・・いい?」
優紀は頷いた。

「はい、よく出来ました!今から私が手を1回叩くとあなたは部屋を片づけてシャワーを
浴び、着替えて寝ます。いま会ったことは目が覚めると忘れているわ。私が来たことも覚
えていないし、もう私が見えない、私の声も聞こえない、それから明日の昼休み、『お使
い』の報告を保健室までしに来なさい・・」

パンっと手を叩くと優紀は裸のまま麗佳には目もくれず部屋を元に戻し始めた。内腿をつ
たう愛液が膝をぬける。汗と涙と愛液・・流れる全てのものが優紀を輝かせた。だが優紀
は、さっきとはうってかわって再び虚ろな表情になっている。
「はい、これで今日の記憶操作と優紀のスキルアップは無事終了ぉ!ごめんね優紀、でも
あなたの「素」の部分を少しずつでも崩していかないと、これからもっともっといろんな
要望が出たときに心の葛藤から催眠が解けたりしたらまずいもんね。これであなたは人前
で自分の裸を曝け出すことに今までより抵抗を感じなくなっているはずよ。前の3人と同
じ支配レベルに到達したってところかな・・・。でも安心して、私があなたをペットとし
て育てるのはこの学院にいる間だけ、今までのコ達もそうしてきたしね。卒業のときには
ちゃんと解放してあげるわ、だからしっかり勉強しないとダメよ。ダブったらいつまでた
ってもあなたは私のペットのまま。ふふふ、でも私があなたをダブらせるように操ること
もできるんだけどね、あなたが煙草をやめる暗示を受けたとき、私に弱みを見せないなんてカラ威張りして言うからちょっとイタズラ心がはたらいちゃった!ふふ・・露出癖・・・
・、これが明日以降のあなたの次の『弱み』よ、煙草より致命的よね・・もう少ししたら蓮見先生とイイコトさせてあげる・・・あははは、じゃあねぇ〜おやすみぃ〜」
裸の優紀は麗佳の呟きに目もくれず、無表情のままコーラの空缶を捨て、テーブルを拭い
て、クッションを元の位置に戻した後、バスルームへと消えていった。

麗佳は職員寮棟へ接続された回廊を歩いていた。回廊の窓越しに見える対面の寮棟のガラ
ス張りの屋内プールに電気がついているのが見えた。
「こんな時間まで使ってるなんて随分物好きなのがいるもんね・・・」
すりかえた優紀のペット用携帯を手に、プールのことなど気にも留めずに麗佳は自室へと戻っていった。

To be continued.


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