良いコピーをどうやって書くか、ということより先に知っておかないといけない話。

JAXAの人たちが感涙したコピー

たとえば、ここに野球大好きの20代男がいたとして、ピッチャーで甲子園まで行った。
今は年収500万のカタい会社勤めで社会人野球やっている。
彼が嫁さん募集を始めて、あなたは婚活女子に刺さる、彼の「コピー」を書くことになった、とします。
どんなコピー書きますか。

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「おれは、生涯、野球人。」みたいなコピー書きますか。
たまたま野球マニアで、婚活中の女性がいれば刺さるかもしれませんね。
カープ女子みたいな人たちもいますし。

でもこのコピーは、プロの書くものとしてはダメですね。
彼のことをただ説明してるだけだからです。
なぜ説明じゃダメかって?
それだと、彼の新しい価値を創ってないからです。

それならと、野球ネタを外して、
「実直な勤め人です。実直に愛します。」
みたいなコピー書きますか。
それは最悪。
彼の優位性を全く無駄にしています。

そもそも、もしこういったコピーを彼に提案したら、「まあそういうことかなあ」と言いながら、彼は、(これなら自分でも書けたな)と思うはず。

僕だったら、
「毎日子どもとキャッチボールする男です。」
とでも書きますかねえ。
野球一筋というファクトをベースに、「子どもを大切にしてくれそう」「家庭を愛してくれそう」というイメージに膨らませるわけです。
そうすると、彼の元々もっている良さが、ターゲットの価値になる。

自分の「説明」なら自分でもできるんです。
客観的な視点から、言葉によって新しい価値を生み出すのがプロの仕事。
僕の言うお金のもらえるコピーライティングとは、そういうことです。

広告表現の「表現」という言い方がいろんな誤解を生んでいる気がします。
若いコピーライターだと、
「今度は、本当の女房役求む。」
とか書きそうです。
ああなるほど、うまいこと言ったねと。
キャッチコピーとして、「掴み」としてならあり得るかもしれません。
でも、ターゲットにとって彼の価値は1ミリも高まってません。
言ってる意味、わかるでしょうか。

≫次ページ 「一昨年だったか、JAXA(宇宙航空研究開発機構)から電話があって」へ続く

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