安倍首相:維新の本丸、大阪遊説 対決姿勢は見せず
毎日新聞 2014年12月04日 12時32分(最終更新 12月04日 13時19分)
安倍晋三首相(自民党総裁)が4日午前、大阪入りし、自民公認候補の応援演説に立った。大阪は、地域政党から出発した維新の党(共同代表・橋下徹大阪市長)の本拠地。2012年の前回選で政権を奪還した自民は、唯一大阪で大敗を喫した。地元の自民は今回、「維新政治の混乱から大阪を取り戻す」(府議団幹部)と反転攻勢を狙う。しかし首相は、憲法改正などで考えの近い維新への配慮もあってか、対決姿勢はのぞかせなかった。
「強い経済を取り戻せ、の思いでアベノミクスを進めてきた。有効求人倍率が上がり、私たちの努力が報われてきた。経済を良くするか、混迷の時代に戻るか。厳しい戦いだ」。首相は大阪府泉佐野市の漁協市場で、約200人の聴衆を前にマイクを握り、アベノミクスの成果を強調した。
前回、維新に敗れた自民新人は、大阪都構想反対を訴え「維新に泉州は任せられない」と対決姿勢を鮮明にした。支持者の泉佐野市の無職男性(60)は「首相は橋下さんと仲がよいからか、演説で維新に触れなかった。大阪の事情を分かっているのか」と不満げな表情。一方、自民陣営幹部は「演説を聞けば、国とのパイプ役の与党議員が必要と分かる。維新の勢いは落ちており、これで追い風になる」と話した。
大阪に維新旋風が吹き荒れた前回、自民は15選挙区で候補を立てたが、選挙区で勝利したのは3人だけ。そのショックは、今も尾を引く。
都構想を巡る対立も地元の反維新感情を増幅させた。協議の場から反対派を排除し、維新単独で都構想の設計図を完成させたことに、自民、民主だけでなく、かつて友党だった公明も反発。府議会、大阪市議会で反維新の共闘が進んだ。
しかし首相や菅義偉官房長官は、維新の橋下共同代表、松井一郎幹事長(大阪府知事)とたびたび顔を合わせる間柄でもある。菅官房長官は9月の記者会見で、都構想に「私も首相も賛成」と発言した。これを橋下共同代表らが街頭演説で繰り返し引用し、自民本部と大阪のねじれを批判する。自民府議らは強く反発している。