実用車や商用車に興奮する困った嗜好を持つ(!?)イラストレーター/ライターの遠藤イヅルがお送りする「ちょっと古いクルマ」の毎週金曜日の連載イラストエッセイ、「ヤングタイマーもやっと列伝」。第14回は、「VW(フォルクスワーゲン)コラード」です!
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こんにちは。ちょっと古くて懐かしい「ヤングタイマー」なクルマたちをイラストとともにお届けするこのコーナー、第14回は「VWコラード」をお送りいたします。
いつの世も堅実な実用車メーカーであり続けるVW。ポロ、ゴルフ、パサートなどは、最近「プレミアム化」の流れもあって華やかな印象も身につけため、まさに死角のないクルマたちに仕上がっていますよね。その一方でVWはGTIのようにスポーティなクルマたちもカタログに常に載せて来ています。
そんなVWも、本格的な「スポーツカー」を送り出したことがあります。それが、1988年デビューの「コラード」。カルマンとの共同開発によって登場したこのクルマ、設計的にはゴルフやパサートのプラットフォームを用いていますし、実質的には2代目シロッコの後継という位置づけだったものの、VWとしてはポルシェ944さえも見据えた「VW初のスポーツカー」として開発された意欲作でした。
長いノーズにカタマリ感のあるキャビン、切れ上がった高いテールなどによってずんぐりむっくりしたデザインが特徴的ですが、絶妙なバランス感と、「これは前輪駆動(FF)スポーツカーなのだ」という説得力はたしかにあります。スポーツカーだけど実際は3ドアハッチバックで、リヤシートは狭めながらもしっかりと用意され、これを畳むと荷室の容量を大幅に稼ぐ事が出来る等、実用性も損なっていないのはさすがVWというべきでしょうか。
そして、コラードといえばエンジンに関する2つのトピックを思い出す方も多いでしょう。そのひとつが「Gラーダー」。1985年にポロ・クーペG40に実験投入された、世界でもVWが唯一採用するスクロール式スーパーチャージャーで、1.8リッターSOHCエンジンはこれによって160psのパワーを得ています。そしてもう一方が、これもVW独自の狭角V6エンジン「VR6」です。コラードに搭載されたVR6はSOHCの2.8リッターで190psを発生しました。なお、コラードVR6はコラードG60の入れ替わりで登場したため併売された事はなかったこと、通常の2リッターDOHC16Vを積んだ「16V」という隠れたグレードがあったことはあまり知られていないかも......。
これらのエンジンと優れたハンドリングによってスポーツカーとして高い評価を得たコラードですが、販売台数的にはイマイチだったため、7年間の生産ののち1995年にはカタログからドロップしてしまいました。直接の後継車は存在しませんが、現在も生産(残念ながら日本市場では輸入中止......)される3代目シロッコは、VWではコラード以来のひさしぶりの専用クーペモデルとなっています。
そうそう、「G60」の名称の由来ですが、「G」はスクロールコンプレッサーのブレード形状から、「60」はスーパーチャージャーユニットの厚みが60mmだったからなんですよー! 意外ですよね! ということで、また来週~!
(イラスト&文・遠藤イヅル|次回は2014年12月12日更新予定)
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