しんえん2:深宇宙通信の実験成功…アマチュア無線使い
毎日新聞 2014年12月05日 02時31分
小惑星探査機「はやぶさ2」とともに打ち上げられた深宇宙通信実験機「しんえん2」が4日夜、地球から約38万キロ離れた月より遠い「深宇宙」空間でアマチュア無線を使ったデータ通信実験に成功した。大学や企業が開発した民間レベルでは世界初の快挙で、月の開発に必要な通信技術の発展に道を切り開いた。
◇「はやぶさ2」とともに打ち上げ
しんえん2は直径約50センチ、重さ約17キロの多面体で、九州工業大(北九州市)と鹿児島大が共同開発した。3日に鹿児島県・種子島宇宙センターから打ち上げられ、約2時間後に高度約2800キロでロケットから分離。九工大などが世界中のアマチュア無線愛好家に電波の受信を呼びかけていたところ、4日午後8時半ごろ、横浜市の無線愛好家から、地球の約50万キロ先でしんえん2が発信した温度や放射線の測定値などのデータを受信したとの連絡が入った。2010年5月に打ち上げられた先代の「しんえん」はロケットから分離後に通信が途絶えており、しんえん2は機体の強度や安定性を向上させて挑んだ。
しんえん2は最終的に約300万キロ先まで通信実験を続ける。【比嘉洋】