前のページへ
3

金融ストラテジスト岡崎良介さんに聞く Vol.1
円が通貨漂流を始めた!
5年後に150円の理由とは?

前半は「幸福な円安」、後半は「暴力的な円安」に

 岡崎さんの話から「2018年150円」というターゲットが見えたが、途中には起伏がありそう。

「いったん、漂流を始めた通貨はやがて誰にもコントロールできなくなります。今回の円安も同じ。前半はハネムーンのような幸福感に包まれた円安になりますが、後半は暴力的な円安になると考えています」

 今回の円安を岡崎さんが「漂流」と呼ぶゆえんがこれ。米ドルやユーロが漂流したときも、最初は「思惑どおり」と政策担当者もほくそ笑んだろうが、「ん……? ちょっと行き過ぎ?」となり、やがては「もういいからっ!」と叫びたくなったはず。

「暴力的な円安」では副作用も表面化

「今回の円安局面も2つに分かれるでしょう。過去の例から見ても最初の3年ほどは日本の景気も上向き、金利や物価もほどほどの上昇で済む。ところが、後半はコントロールが効かなくなり、最終的にはハイパーインフレ寸前になる、あるいはバブルを生み出して終焉するのでは」

 ちょっと気になる後半だが、「先の話なので気にする必要はないと思いますが」と岡崎さん。頭の片隅に置いておくらいでOKだろう。でも円安の今後の見取り図は持っておきたい。

調整を挟んで150円を目指す

「構造的な変化の場合、『50%ほど上昇→調整を挟み→再度の50%上昇』というのがパターン。2015年、110円台から120円手前まで円安が進み、調整を挟んでもう一度50%上昇して150円を目指すというイメージでしょう」

 調整の前に利益確定をして、調整が終わったところで買い直して、150円で利益確定するというのが理想的。でも、この「漂流シナリオ」を崩すようなリスクはないのか。

「目をつぶって外貨を買っていい」

「いちばん読めないのは日中の偶発的な衝突。これは市場の外の話なのでまったく読めません。イタリア? キプロス? ユーロの中の小さな話ですよね。投資でいちばんいけないのは『取り越し苦労』。リスクを考えることはもちろん大切ですが、考えすぎると何も行動できなくなる。今は目をつぶって外貨を買っていい時期だと思います」

 なんと力強い言葉。中長期的な資金なら、さっさと外貨を買ってしまうのがよさそう。でも、リスクの取りすぎには注意したい。せっかくの上昇相場、レバレッジをあげすぎて、ロスカットにひっかからないようにしよう!

(取材・文/高城泰)

前のページへ
3

この記事のバックナンバーは、右上のINDEXを見て!

ザイFX!始めネット!TOPへ戻る!