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長野御嶽のライチョウが危機 火山灰で影響恐れ
長野、岐阜県境の御嶽(おんたけ)山(三、〇六七メートル)の噴火で降り積もった火山灰が、国特別天然記念物のライチョウに影響する恐れが出ている。灰によって、すみかやエサとなる高山植物が枯れる可能性があるという。ライチョウは環境省のレッドリストで絶滅危惧種に指定されているが、御嶽山周辺には、生息に適した標高二千五百メートル級の高山が他になく、専門家は「御嶽山からライチョウがいなくなるかもしれない」と懸念している。 火山噴火予知連絡会の御嶽山総合観測班の一人で、信州大の竹下欣宏(よしひろ)准教授(地質学)は十一月、御嶽山の降灰状況を調査。火山灰は二千四百メートル付近から目立ちはじめ、二千七百メートル付近では十センチほどに。ライチョウが営巣するハイマツの根元や、エサとなるガンコウランやクロマメノキなどの高山植物が灰に覆われていたという。 御嶽山のライチョウの生息域は、ハイマツが分布する二千五百〜二千七百メートルとほぼ同じ。ガンコウランやクロマメノキは樹高が数十センチほどしかなく、火山灰に埋もれやすい。灰の熱で枯れたり、土中の種が発芽しなくなる恐れもあるとされる。信州大の中村浩志名誉教授(鳥類生態学)は「十センチも積もれば、ライチョウの生息に必要な植生は失われるかも」と危機感を募らせる。 中部森林管理局の二〇一二年の調査では、御嶽山のライチョウは推定百五十三羽。大まかに五つに分けられる生息域のうち、降灰が多い火口東側の黒沢区域では二十一羽、噴火口ができた王滝・継母(ままはは)岳の両区域には計六十五羽がいた。 ライチョウは雪が積もる十一〜三月までは標高二千三百メートルほどまで下りてきて過ごす。春になって二千五百〜二千七百メートル付近へ上がるが、火山灰で一帯の高山植物が枯れていれば、降灰が少ない区域に移動すると考えられる。 ただ、中村名誉教授によると、御嶽山は他の山と連なっていない「独立峰」のため、北アルプスなどのライチョウと比べ、遺伝子の多様性がなく、環境の変化に弱い。中村名誉教授は「なわばりに新たな個体が加わり、密集することで、ストレスがかかる可能性がある。一気に数が減るかもしれない」と指摘。今後、少なくとも数年間は調査をすべきだとする。 (西川正志) <ライチョウ>国特別天然記念物で、御嶽山や北アルプスなど全国5地域に生息。環境省のレッドリストで、近い将来に絶滅の危険性が高い絶滅危惧種に認定されている。環境省によると、1980年代には推定3000羽がいたが、現在は2000羽以下とみられる。狩猟人口の減少などで増えたシカが温暖化で高山帯に入るようになり、ライチョウのエサとなる高山植物を食べていることなどが要因と考えられている。環境省は2012年に保護増殖事業計画を策定。15年度から本格的に生息数を調査する。 PR情報
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