小中学校の9年間をつなぐ「小中一貫校」を市区町村がつくることを、国が後押しする。

 そんな案を、文部科学相の諮問機関である中央教育審議会がまとめた。政府の教育再生実行会議による学制改革の提言を受けてのことだ。

 一貫校は、自治体が国に先駆けて進めてきたボトムアップの取り組みだ。文科省の調査では施設が分かれているものも含め、1130校に上る。中学進学時に不登校や暴力行為が増える「中1ギャップ」の緩和を狙う例が多い。

 案通りに進めば、一貫校になると、小中別々の教職員組織を一体的に運営したり、独自教科を設けたりしやすくなる。

 実際に設けるかどうかは、市区町村にゆだねられる。導入しようとする自治体は、なぜつくるのか、どんな学校を設計するのかを吟味してもらいたい。

 文科省の調べでは、一貫校には中身が伴っていないところが多い。9年間を見通した目標と各教科のカリキュラムを持つのは、4分の1どまり。子どもを評価する基準や方法を小中で共有するのは1割余りしかない。

 都市部では、中学校で多くの子が私学に移り、一貫教育が実質的に成り立たない例もある。

 形ばかりの一貫校では、つくる意味を問われよう。

 欠かせないのは、住民の声を聞く姿勢だ。少子化で「縦の統廃合」として一貫校を設ける自治体が多い。新しいタイプの学校をつくると言えば納得を得やすいと安易に発案し、反対運動が起きた例が各地にある。保護者や住民の協力が得られない学校はうまくいかない。

 「教育の機会均等」の視点も重要になる。一部の学校を一貫校にすると、その学区に住んでいない保護者や子どもが不公平感を抱きかねない。全校で取り組むのが難しい場合は、一貫教育の成果を他の小中の連携に生かす姿勢が欠かせない。

 導入後に必要なのは、きめ細かな配慮だ。9年間で人間関係が固定化しないか、転出入する子に対応できるか、小学校高学年がリーダーになる機会が減るのでは……。そんな懸念が指摘されている。異学年の交流を進め、転出入する子に補習をし、高学年の活躍の場をつくる対応が求められる。

 教育委員会の改革で自治体の長が設け教委と話し合う「総合教育会議」が来春設けられる。小中一貫校は中高一貫校と違い、小中とも同じ自治体が設けるため導入しやすい。それだけに首長、教委、学校、保護者、住民で十分議論してほしい。