「たった600キロの重さの小舟が大海原に向かった。厳しい運用が待ち受けている」
心血を注いだ小惑星探査機「はやぶさ2」が旅立った。打ち上げ後の会見では緊張した様子で言葉をつなぎ、安堵(あんど)の表情はなかった。
初代はやぶさで「イオンエンジン」の開発を担当。燃料ガスをイオン化して噴射する心臓部だが、故障で帰還が危うくなった。その反省を生かしてエンジンを改良し、後継機の指揮を執る。
「技術を洗練し、優れたものができた。ただ、成功は約束されてはいない」
子供の頃は飛行機に憧れた。夢は宇宙へと広がり「人工衛星を飛ばしたい」と京都大工学部へ。燃費に優れるが実用化の見通しが立たないイオンエンジンの存在を知り、「日陰の領域だからこそ、研究課題が山ほどある。面白そうだ」とのめり込んだ。
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