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【政権の是非を問う】
=震災復興と原発事故収束= 「復興なくして日本再生なし」 分断された地域の絆をどう取り戻すか
相馬双葉漁業協同組合職員の阿部庄一さん(59)は樽の魚を見つめながらこう力を込めた。
福島県漁業協同組合連合会では、消費者の信頼を回復するため、放射性セシウムの基準値を国が定める1キロ当たり100ベクレル以下よりもさらに厳しい同50ベクレル以下に設定する。漁場は第1原発から50キロ以上離れており、漁の対象も安全が確認された魚種に限定されているため、市場に並ぶ魚は安全なものだけだ。
24年6月の試験操業開始直後、3種類だった漁業対象魚種は現在56種類にまで増えた。
「民主党政権よりも被災地を気に掛けてくれているように思う。復興への熱意も伝わる。一日も早く原発事故前のように漁ができるようにしてほしい」
阿部さんはこう期待を込めるが、漁獲量は福島県全体でも25年で4万5300トン。震災前の22年の7万8939トンに比べるとまだ6割に満たない。
× × ×
この2年間で宮城、岩手両県の震災・津波被害の復旧は着実に進んでいる。
農地は宮城で84%、岩手で62%が復旧した。漁港も宮城で96%、岩手も92%が回復した。災害公営住宅の完成は2割に満たないが、用地確保は宮城で89%、岩手で80%まで進んでおり、今後急ピッチで建設が進む見通しとなっている。
ただ、原発事故の影響が大きい福島県の復旧はかなり遅れている。
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