島康彦、岡本玄 島康彦、岡本玄
2014年12月4日13時53分
広島県を訪問中の天皇、皇后両陛下は4日午前、広島市の平和記念公園を訪れ、原爆死没者慰霊碑に供花した。
慰霊碑には被爆し、これまでに亡くなった約29万2千人の名簿が奉納されている。雨の中、両陛下は白菊の花を供え、拝礼した。松井一実市長の説明を受けながら、天皇陛下は慰霊碑にじっと見入っていた。
その後、広島原爆養護ホーム「矢野おりづる園」を訪れ、被爆者10人と懇談した。広島市には原爆養護ホームが4カ所あるが、両陛下は今回ですべての施設の訪問を果たした。
両陛下はかねて戦没者に心を寄せてきた。戦後50年の1995年には「慰霊の旅」として広島、長崎、沖縄の3県を訪問。戦後70年を控えた今年も、6月に沖縄県の沖縄平和祈念堂に拝礼し、10月に長崎県の原爆落下中心地碑に供花した。(島康彦、岡本玄)
■一人ひとりに声をかけ
「矢野おりづる園」で両陛下は二手に分かれ、被爆者一人ひとりに声をかけた。「言葉には尽くせません」と振り返った久保●(●はうかんむりに必、みち)子さん(83)を、天皇陛下は「大変な状況だったんでしょうね」といたわった。
入所者で最高齢の中浜菊子さん(101)に対し、天皇陛下は「お元気ですね」と声をかけた。皇后さまは中浜さんの手に触れ、「101歳におなりになって、おめでとうございます」と話しかけた。
親子で入所している新保トシ子さん(99)、妻鹿(めが)キミ子さん(83)に皇后さまは「ご一緒でよろしゅうございましたね」、天皇陛下は「どうぞお元気で。親子でね」と声をかけた。懇談後、新保さんは「よかったです」、妻鹿さんは「夢のようです。長生きさせていただいたおかげです」と涙ぐんだ。
藤岡光恵さん(87)が「日記を書いているが漢字をよく忘れます」と明かすと、皇后さまは「私もそう。いつも字引を引いていますよ。お元気でいらして下さいね」とほほ笑んだ。藤岡さんは懇談後、「私に合わせてお言葉をいただき、皇后さまのやさしさを感じました」と話した。
来年8月、広島は原爆投下から70年を迎える。懇談の最後に天皇陛下は「来年は70年になりますが、どうか元気で来年を迎えられるよう願っています」とあいさつした。
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朝日新聞社会部
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