【フランクフルト=赤川省吾】欧州中央銀行(ECB)は4日の定例理事会で、主要政策金利を過去最低の年0.05%で据え置くことを決めた。域内の景気・物価見通しは下方修正した。追加の金融緩和を決断するタイミングについて、ドラギ総裁は「来年初め」と述べ、国債を買い入れて市場に資金を供給する量的緩和に近く踏み切る考えを示唆したが、ECB理事会内で賛否はなお割れているもようだ。
ドラギ総裁は理事会後の記者会見で「景気の勢いが弱っている」と指摘し、先行きに厳しい見方を示した。2015年のユーロ圏の実質成長率見通しを9月時点の1.6%から1.0%に引き下げたほか、物価上昇率は1.1%から0.7%に下方修正した。景気と物価のてこ入れに向け、ECBは長期資金の供給や資産担保証券(ABS)の購入に動いているが、いまのところ目立った効果は表れていない。
ECBは量的緩和の具体的な手法の検討を進めている。国債の買い入れ額は、ユーロ導入国の経済規模に応じて決める案が有力だ。ドイツ、フランス、イタリアの国債を集中的に買い取る枠組みになる公算が大きい。