ZERO to ONE
ピーター・ティール氏の書籍、『ZERO to ONE』(ゼロ・トゥ・ワン)が独創的・独善的で抜群に面白いと話題になっているようです。起業系・ビジネス系の本棚に並んでいるこの本は、わたしもちょっと気になっていました(まだ買っていないし、読んでいない)。
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ニッチを攻める
で、ブロガー・鳥居弘文氏がゼロ・トゥ・ワンの「スタートアップのはじまりは、小さい方が良い」という助言について考察をしていました。
「何かを始めようとするのであれば、非常に小さな市場(ニッチな市場)から攻めるべきだ」「小さなニッチを支配して、大きな長期目標に向けて規模を拡大していくべきである」、ってのがゼロトゥワンの意見。鳥居氏は、これに対し「土台をしっかり固めた上で、小さな成功体験を積み重ね、横に展開していくことが重要だ」と述べています。
両者の意見については、おおむね賛同。
ネットビジネスも似たようなもん
最近、「ウェブ専業で生きるための方法」なる連載を書いているわたしですが…ウェブを収益化するコツもまさに、「ニッチ」を「ロングテール」で制覇・支配することなんですよねぇ。日本には1億人以上もの人間がいるし、どんな話題であっても一定数の需要はあるものです。
ブログでも、時事ネタ(トレンド)で一発大きく稼ぐよりも、雑談ネタで細く長く稼いだ方がいいってことがしばしばあります…。
で、特定のキーワードを取ったら、それを起点にして広げていく(規模を拡大していく)ってのがブログ運営のセオリーかなぁと思っています。
小さいところから始まる
ゼロから何かを生み出すためには、まず小さいところから立ち上げて拡大していくってのが大事なんですねぇ。「鶏口となるも牛後となるなかれ(たとえ小さくでも、そこのトップになりなさい)」って故事と符合しているのがまた面白い。
わたしの地元の焼き肉店も、ジモトで一番になって、そこから規模を拡大し今ではチェーン店みたいになっています。ジャパネットたかたも、最初は小さなカメラ屋だったそうですし…
ニッチを攻めるべしってのは、商売の世界では特に新しいことではないのかもしれない。でも、そういうセオリーとか常道とかって、自営業と無縁な人からするとあまりピンとこないんですよねぇ。わたしも個人事業主としてやっているけど、両親はサラリーマンなのでその辺のセンスがいまいち…。そういう意味で、ゼロ・トゥ・ワンはぜひとも購入して読んでみたいなぁと思っています。
記事引用
まずは本書でこの部分について言及している箇所を、少しだけ引用してみましょう。
どんなスタートアップもはじまりは小さい。どんな独占企業も市場の大部分を支配している。だから、どんなスタートアップも非常に小さな市場から始めるべきだ。失敗するなら、小さすぎて失敗する方がいい。理由は単純だ。大きな市場よりも小さな市場の方が支配しやすいからだ。最初の市場が大きすぎるかもしれないと感じたら、間違いなく大きいと思った方がいい。
最後の参入者になる方がはるかにいい──つまり、特定の市場でいちばん最後に大きく発展して、その後何年、何十年と独占利益を享受する方がいいということだ。そのためには、小さなニッチを支配し、そこから大胆な長期目標に向けて規模を拡大しなければならない。
小さな成功体験を積み重ねて、横展開していく重要性。
上記で語られているように「まずは足場を固めること、土台を固めること」が今のスタートアップにとってはとても重要なことなのだと思います。
この部分をを絶対に蔑ろにしないこと。自分のこれまでの経験や、様々な失敗から振り返ってみても、これは間違いないことだと思います。
土台をしっかりと固めた上で、小さな成功体験(=小さな市場を支配する)を積み重ねていく。そしてその成功体験を横展開していく。それが今の世の中において一番理に適ったやり方だということなのでしょう。
なぜなら、今の世の中はそれぞれの特殊事情が多すぎるからです。マニュアル化して大きく狙ったところで、それが達成される前にドンドン古くなってしまう。それは、今スターバックスがサードウェーブの波に押されていることなどにも体現されていることだと思います。
参照:佐久間裕美子著「ヒップな生活革命」を読んで。僕らはもうアメリカの真似をするべきじゃない。 | 隠居系男子
それこそ、「リキッド化していく世界」では、完璧なマニュアルそれ自体には価値はありません。マニュアルを作るまでのプロセスを辿ったことがあるという経験に価値があり、マニュアルをいつでも作り変えることができるという柔軟性の方に意義があるのだと思います。
参照
フラット化する世界から、リキッド化する世界へ。 | 隠居系男子松井忠三著『無印良品は、仕組みが9割』マニュアルで現代の若者はもっと自由になる。 | 隠居系男子
Waseiの有料オンラインコミュニティもその一環。
さて、Waseiでは“小さく始める”その第1歩として、noteの有料マガジン機能を使った有料オンラインコミュニティを11月から始めています。
今まで、誰もやったことのない取り組みかもしれませんが、まずは自分たちのことを応援してくれている人たちとしっかりと繋がっていきたいという想いから始めてみました。
最初のうちは大きく知られることがなくても、自分たちを本当に応援してくれているという人たちが1人でも2人でもいるということさえ分かれば、それだけで挫けず十分やっていけると思ったからです。
あまりにも小さすぎるかもしれませんが、今の自分たちが地に足をつけながらしっかりと面と向かって向き合えるのは、この距離感、この規模感なんだと思います。
参照
「note」で有料オンラインコミュニティ始めます。 | 隠居系男子今日からこのnoteの方で、新しいウェブメディアのコンセプトや概要についても徐々に発表していきます。
また、オンラインコミュニティメンバーの皆さんによる寄稿記事も明日から始めてみようと思っています。
「リアルに還るためのウェブメディア」に少しでも興味がある方、もしくは「これからの暮らし方」や「生き方」に興味がある方は、ぜひご購読してみてください。
最後に
本書の話から少し逸れてしまいましたが、この本はベンチャー企業の経営者だけではなく、今の時代に何か新しいプロジェクトを始めてみようと思っている方にとって、必読の書だと思います。
最近ずっと盲信されてきた「リーンスタートアップ」や「リモートワーク」、「ブランディングから始める重要性」や「福利厚生の充実」「企業内文化の育成」なども、本書の中では見事に否定されています。
僕自身、ここに書かれていることが全て正しいと思っているわけではないですが、十分読むに値する反対意見だと思います。世の中の通説の反対意見を知っておく上でも非常に有益でしょう。
その上で本書に賛同する・しないは自由です。大切なのは、その決断に至るまでの思考過程であり、この本は自分の考えを整理するために非常に良いフックになると思います。
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