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看護師逮捕 周囲に必ずいる「演技性人格障害」の特徴

日刊ゲンダイ 12月4日(木)10時26分配信

 入院患者に大量のインスリンを投与した東京都世田谷区の看護師、高柳愛果容疑者(25=傷害容疑で逮捕)。どうやら自分の評価を高めるための犯行だったようだ。

 高柳容疑者は今年4月、勤務先である世田谷区の日産厚生会玉川病院に入院していた91歳女性に、3回にわたってインスリンを大量投与し、低血糖状態にした疑いで捕まった。「高柳容疑者は女性の容体が急変するたび、医師の診断も仰がず、率先して回復措置に当たっていた。周囲は<なぜ低血糖発作と分かるのか>と怪しんでいたのです。捜査関係者は、高柳容疑者が“できるナース”であることをアピールし、院内の評価を上げようとした、とみています」(捜査事情通)

 高柳容疑者は男女関係のトラブルを抱え、精神的に不安定だったという情報もある。患者はたまったものじゃないが、実はこの事件、いま世界中を震撼させているドイツの“大量殺人看護師”に通じるものがある。

■230件の不審死

 ドイツ北部の病院で、3人の患者に薬物を注射し、殺害した罪に問われているニールス・ヘーゲル被告(37)のことで、99年からこれまで、2つの病院で230件を超える不審死に関与した疑いが持たれている。

「ヘーゲル被告は退屈しのぎで患者に薬物を注射し、容体を悪化させ、自分が蘇生させることで、患者の家族や病院関係者から評価されたかったそうです。その揚げ句、次々と殺してしまった。彼は昔から目立ちたがり屋だったそうです……」(犯罪ジャーナリスト)

 ネット上では、周囲の関心を引くために他人を傷つける「代理ミュンヒハウゼン症候群」なる言葉が注目を集めている。臨床心理士の矢幡洋氏によると、「『代理――』は、子どもを虐待する母親によく見られるもの」で、2人の犯行を見て演技性人格障害の疑いがあると思ったと言う。

「意図的にドラマを作り出し、周囲の注目を集めよう、褒められようとする人のことです。例えば自分で火をつけながら、それを消火して“英雄”になろうとする放火犯などです。本当は自分に自信がないのに、自己顕示欲は異常に強い。喜怒哀楽の表現がオーバーだったり、わざわざ難解な言葉を使うなど、必要以上に自分を大きく見せたがる傾向があります」

 周囲に1人か2人はいそうなタイプだ。ちょっと怖くなってくる。

最終更新:12月4日(木)10時26分

日刊ゲンダイ

 

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