2014年12月4日10時16分
●有権者の関心追う 「直接会う」重視
昨年の参院選から解禁されたネット選挙が、今回の衆院選でも採り入れられる。県内の陣営では、積極的な活用に動く事務所がある一方、有権者と直接会うことを重視し、必要最小限にとどめる陣営も。ネットによる活動は選挙戦にどのような影響を与えるのか。
公示日の2日夜。福島4区の維新前職(46)の陣営ではネット戦略の会議が開かれた。「こんなんじゃ誰も見ない。つまらない」。第一声の様子をそのまま流した動画に厳しい声が飛んだ。結局、陣営の舞台裏など、見た人を「へぇ」と思わせる動画で投票を呼びかけることにしたという。
この陣営では、30、40代のスタッフ4人が専従でネット管理を担当している。無党派の若者を取り込む重要なツールだ。
「選挙カーの看板は公示日の朝まで掲示出来ません。でも、当日に看板を貼っていたら大変ですよね。だから上にカバーを貼り、一気にはがします」。福島3区の自民新顔(39)のフェイスブック(FB)は遊説日程などの合間に「選挙豆知識」を披露している。
「政治に関心のない有権者を引きつけなければ」という理由だ。1区の民主新顔(49)もFB上で政策だけでなく、プライベートな部分を掲載し、親しみやすさをアピールする予定だ。
それほどでもない陣営もある。3区の民主前職(50)はホームページ(HP)に個人演説会の日程などを掲載するのにとどめる。陣営関係者は「選挙が始まったからといって急にFBなどを始めても効果は薄いだろう」。5区の民主前職(65)陣営も「支持層がネットと親和性がない」と活用には消極的だ。
昨年7月の参院選期間中に朝日新聞がおこなった世論調査でも、ネット情報を「参考にする」と答えた人は34%にとどまった。
ネット選挙は有権者に浸透していないのか。今年10月の知事選で立候補予定者による公開討論会を企画した日本青年会議所東北地区福島ブロック協議会の担当者は否定する。討論会の生中継はアクセス数が2万回もあり、予想を上回る反響だった。衆院選でも、小選挙区候補者の動画をHPに掲載している。「『候補者の姿を動画でみたい』という声は多い。特に今回はバタバタの解散で、公開討論会が開けなかった。有権者の判断材料になりうると思います」と話す。