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<衆院選>復興 首都圏では訴え聞かれず

党首の街頭演説に耳を傾ける市民ら=2日、東京都内

 2日に公示された衆院選(14日投票)の序盤戦で、首都圏では、東日本大震災や福島第1原発事故からの復興について各政党が語る場面が減っている。党首らが演説で復興の加速策などに割く時間は選挙を重ねるごとに短くなり、震災復興は被災地の局地的な課題との様相が強まっている。

 自民党の安倍晋三総裁(首相)は公示後に地方遊説が続くため、11月28〜30日に事実上の選挙遊説として東京、千葉、神奈川の3都県計12カ所で演説会を実施した。経済政策「アベノミクス」の成果や外交・安全保障、女性政策などの訴えに終始し、「震災」「復興」「福島」に触れることはなかった。
 3都県には今も、原発事故で福島県外に避難した人の4分の1近い約1万1000人が暮らす。安倍氏は公示日の2日、相馬市を第一声の場に選び、宮城県にも転戦して被災地重視をアピールしたが、首都圏への避難者が訴えを直接耳にする機会は今のところない。
 民主党の海江田万里代表も2日、いわき市で第一声を上げた後、宮城県に入り、復興の遅れなどを指摘し政府を批判した。ただ帰京後、首都圏で最初に行った東京・月島での街頭演説では、自民の「政治とカネの問題」などを主に訴え、震災復興は語らなかった。
 公示日に首都圏を党首の第一声の場所に選んだのは維新の党、公明党、共産党、次世代の党。
 公明の山口那津男代表は横浜市で街頭に立ち、消費税増税問題や自公連立政権の成果に時間の多くを割いた。昨年7月の参院選で山口氏は東京での第一声で、津波被災地の高台移転を取り上げたが、今回は復興への言及はなかった。
 維新の江田憲司共同代表は横浜市で、共産の志位和夫委員長は東京・新宿で、それぞれ原発再稼働問題に絡めて福島の事故に言及。政府の再稼働方針を批判したが、津波被災地を含めた復興政策に触れなかった。
 次世代の党の石原慎太郎最高顧問と山田宏幹事長は東京・新宿での演説で、国家論や従軍慰安婦問題などの訴えに終始した。
 生活の党の小沢一郎代表と社民党の吉田忠智党首は地方から遊説をスタートし、まだ首都圏で演説していない。


2014年12月04日木曜日

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