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バター品薄続く クリスマス前に対応追われる
12月4日 16時16分

バター品薄続く クリスマス前に対応追われる
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クリスマスを前にケーキ用などで需要が高まるバターは品薄の状態が続いていて、飲食店やスーパーでは対応に追われています。

バターを巡っては、酪農家が減っていることや、去年、乳牛の病気が広がったことなどで原料の牛乳自体の生産が減少しています。
さらに牛乳は通常は飲用向けが優先されるため、バターや脱脂粉乳といった主要な乳製品への供給が減る傾向が続いています。
このため、農林水産省によりますと、国内でのバターの生産量は、ことしの9月まで15か月連続で前の年の同じ月を下回ったほか、乳業メーカーなどの在庫もことし10月の時点でおよそ1万5132トンと、前の年の同じ時期を30%近く下回る低い水準になっています。
さらに、バターは例年、クリスマスケーキ用などで冬場に需要が拡大します。
こうしたことから、農林水産省は、すでにバターと脱脂粉乳、それぞれ1万トンの緊急輸入を決めたほか、先月28日には乳業各社に対して家庭用バターの最大限の供給を要請しました。
しかし、スーパーなどでは家庭用バターの品薄が続いているほか、飲食店や洋菓子店の中には安定的に調達できないところもあるのが現状で、客への販売個数の制限や、バターの代替品の活用などの対応に追われています。

スーパーでは販売個数の制限も

スーパーなどの小売店では、今月に入っても、客に対するバターの販売個数を制限するといった対応が続いています。
東京・江東区のスーパーでは、6種類のバターの商品を取り扱っていますが、十分な量を仕入れることができない状況が続いています。
このため、先月からは、1人でも多くの人が買えるようにするため、売り場の棚に商品を1個ずつしか置いていません。
まとめ買いを防ぐためで、商品がなくなれば、その都度、補充するようにしています。
バターを買った客は、「いつもバターの売り場を見ていたが、いつも品切れしていたのであるときに買っておきます」と話していました。
店によりますと、バターを発注しても、実際に入荷される量は、商品によっては4分の1程度にとどまっているということで、需要が高まる今月に入っても、家庭用バターの品薄状態が続いています。
「サンケイスーパー」の水野竜宏社長は、「クリスマスが近づいて、料理やお菓子にバターを使う機会がかなり増えていると思うが、ほしいお客さんに商品を届けられず残念です」と話しています。

カレー専門店でも懸念

東京都内のカレー専門店では、今後のバターの不足を懸念しています。
東京・千代田区にあるこの店は、カレーのルーやバターライス、ポテトの付け合わせなどに毎日およそ5キロのバターを使っています。
しかし、バター不足で、先月、仕入れ業者から購入できたバターの量は、去年の同じ時期より3割ほど少ない量になりました。
さらに今月は、洋菓子店などでクリスマスケーキ向けのバターの需要が高まるため、確保できるバターの量がさらに減るのではないかと懸念しています。
店では十分なバターが確保できない場合は、ポテトの付け合わせのバターをマーガリンに変えざるをえないと考えています。
店長の曽根田一喜さんは「バターの追加輸入などの効果はまだ出ていない。今のバター不足はこれまでになく大変な状況だ」と話しています。

洋菓子店は安定調達に不安

東京都内の洋菓子店の中には、輸入された外国産バターを調達できたところもありますが、安定調達のめどは立っていないとして不安を感じています。
東京・北区にある洋菓子店では、マドレーヌやケーキといった洋菓子の材料として1日に国産バターをおよそ30キロ、13.5キロ入りのケースで2つ以上を使っていました。
しかし、ことし7月以降は国産バターの仕入れ量がいつもの年に比べて3割から4割ほど減っていて、通常は手元に5ケースほど用意している国産バターが今は1ケース余りしかないということです。
一方、この店では、今週になって輸入されたバターを25キロ、仕入れることができ、国産バターに足す形で洋菓子の材料に使うことにしています。
ただ、国産も含めて今後、安定的に調達できるめどは立っていないということで、不安を感じています。
洋菓子店「シエルボン」の鎌田明彦オーナーシェフは、「これまでもバター不足はあったが、ここまで足りなくなるのは初めてだ。輸入バターが調達できて少し気が楽になったが、以前のように一定量を確保するのは難しくこの先が不安だ」と話しています。

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