2014年12月4日15時43分
関西電力の高浜原発3、4号機(福井県)で新規制基準に適合させるために進められている対策工事が11月に報道各社に公開され、私も現場を見た。福島第一原発事故で爆発を招いた水素の除去装置や竜巻による飛来物を防ぐネット、2キロに及ぶ防火帯などの対策が施され、再稼働をめざす動きが活発化していた。
一方で、これまでに全国に48基ある原子炉で新基準への適合審査申請をしたのは半分以下。どれだけ再稼働するか不透明だ。申請していない炉には運転開始から40年を超えるものもある。古い炉は基準に合わせて対策をしても経済性を考えれば割に合わないとして廃炉の判断が相次ぐ可能性がある。現行基準では40年運転が寿命という原則だ。経済産業省の資料によれば、仮に全炉が運転延長しなければ、2049年に原発ゼロになる。
国のエネルギー基本計画は原発の依存度を下げるとしつつ、重要なベースロード電源として位置づけている。しかし、依存度を下げることはゼロにすることと直結しない。経産省の審議会では新増設を求める意見もある。電気を何でまかなうのかを考える正念場を迎えている。
(編集委員)
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