沖縄本島沖に「海底熱水鉱床」 開発へ期待12月4日 17時43分
沖縄本島の北西沖の海底で、銅や鉛、金、銀が沈殿してできた「海底熱水鉱床」と呼ばれる地形が見つかったと、JOGMEC=石油天然ガス・金属鉱物資源機構が発表し、日本にとって貴重な鉱物資源の開発につながる可能性があるとして期待されます。
発表によりますと、JOGMECが沖縄の周辺海域を調査した結果、沖縄本島から北西に150キロ離れた海底で、大規模な「海底熱水鉱床」と呼ばれる地形を発見したということです。
「海底熱水鉱床」は地中深くにしみ込んだ海水がマグマなどに熱せられて、海底に噴出する際、噴出口の周りに銅や鉛、亜鉛、それに金や銀が沈殿してできた円すい形の地形です。
今回見つかった「野甫サイト」と名付けられた場所には、20個以上の円すい形の地形が確認され、大きいものは直径100メートル、高さ30メートルあります。
これだけ大規模な「海底熱水鉱床」が見つかったのは、日本周辺では同じ沖縄沖で見つかった「伊是名海穴」に続いて2例目で、国産の鉱物資源の開発につながる可能性があるとして期待されます。
ただ、見つかった海底熱水鉱床からどのように金属類を採掘して引きあげるかといった技術開発の課題や、採算性の問題が残されており、今後、国とJOGMECはさらに研究を進めていくことにしています。
商業生産には課題山積
日本の周辺海域には今回見つかった「海底熱水鉱床」のほか、将来の国産の天然ガスとして期待される「メタンハイドレート」が、広い範囲で分布していることが確認されていますが、実際の商業生産に向けては技術開発や生産コストなどの課題が山積しています。
このうち「海底熱水鉱床」は深さ700メートルから1600メートルの海底にあることから、商業生産に向けては、深い海の底で鉱石を掘ることができる作業機械などを開発する必要があり、時間がかかる見通しです。
国は技術開発については平成30年代の半ばをめどに行うとしていますが、商業生産を開始する時期のめどはまだ立っていません。
一方、「メタンハイドレート」はメタンガスと水が結びついて氷のようになっている物質で、推定される埋蔵量は、日本の天然ガスの年間消費量のおよそ10倍に当たります。
国はこのメタンハイドレートから天然ガスを取り出して商業生産するための技術開発を、4年後の平成30年度をめどに実現したいとしています。
ただ、メタンハイドレートは深さ1000メートルの海底からさらに数百メートル掘り進んだ地層に埋蔵されており、採掘技術の開発や生産コストの面で課題は多く、実際に商業生産を開始するめどは平成30年代の後半となっています。