自民党が民放各局に選挙報道の中立公正を要請する文書を出していたことに関連して、読売新聞は11月27日、ニュースサイトに「民放へ選挙報道の中立公正求める文書…与野党」と見出しをつけた記事を掲載した。自民党だけでなく「与野党」から在京民放キー局に選挙報道の中立公正を求める文書が届いていると報じており、与野党の全部もしくは大半が同様の文書を出しているかのような印象を与える。しかし、日本報道検証機構が自民党を除く与野党8党に問い合わせたところ、要請文を出したと確認できたのは日本共産党と新党改革だけ。民主党など6党は出していないと回答している。
- 民放へ選挙報道の中立公正求める文書…与野党(Yomiuri Online 2014/11/27 20:02)
読売の記事は「ヨミウリ・オンライン」に掲載されたが、紙面には掲載していなかった。記事は、テレビ東京の高橋雄一社長が27日の定例記者会見で、自民党から選挙報道の中立公正を求める文書が届いたことを明らかにし、「野党からも届いている」と述べたと報道。そのうえで、「同様の文書は、与野党から他の在京民放キー局にも届いており」と書かれていた。
自民党が萩生田光一筆頭副幹事長と福井照報道局長の名で「在京テレビキー各社」宛てに11月20日付で要請文書を出していたことは、ネットメディア「DAILY NOBORDER」が26日報じ、明らかになった。これを受け、読売新聞を除く主要各紙が28日付朝刊で報道。それらによると、①出演者の発言回数・時間、②ゲスト出演者の選定、③テーマ、④街頭インタビューについて、公平中立、公正を期すよう求める内容だった。
当機構が自民党以外の各政党に確認したところ、公明党(公示前勢力31)、民主党(同62)、日本維新の会(同42)、次世代の党(同19)、生活の党(同5)、社民党(同2)は、いずれも選挙報道に関する要請文書は出していないと回答した。共産党(同8)は11月26日付で「総選挙の企画・報道上の政党の扱いについての要請」という文書を出し、①各党代表の討論の発言の機会と時間、②選挙の争点や各政党の政策の紹介について、特定の政党に偏らず、公正・公平を貫くよう求めていた。新党改革の担当者は、文書そのものは開示しなかったが、「小さな政党でも公正・公平に扱うよう求める趣旨の文書を、民放各局に対してではなく記者クラブに出した」と説明した。民放各局にも取材したが、要請文書が届いた政党名について具体的な回答を得られなかった。
- 不偏不党 公正・公平に 総選挙報道 共産党がテレビ局に要請(しんぶん赤旗 2014/11/28)
(初稿:2014年12月3日 15:47)