深松真司
2014年12月4日17時24分
将棋の第27期竜王戦七番勝負(読売新聞社主催)の第5局が3、4日、金沢市で指され、挑戦者の糸谷(いとだに)哲郎七段(26)が森内俊之竜王(44)に161手で勝ち、4勝1敗で初タイトルとなる竜王を獲得した。同時に八段昇段も決めた。渡辺明二冠(30)とあわせ、七つあるタイトルのうちの三つを20~30代の若手が保持することになった。
20代での初タイトルは23歳で王位になった広瀬章人八段(27)以来、4年ぶり。昨年、竜王を獲得し、名人とともに将棋界の二大タイトルを手中にした森内竜王は今春の名人戦に続いて防衛に失敗し、3年半ぶりに無冠になった。
糸谷七段は広島市出身。2006年に17歳、高校3年でプロ入りした。当時から大器と注目され、同年、若手の登竜門・新人王戦で優勝。持ち時間の短い早指しを得意とし、NHK杯戦で2回準優勝した。才気あふれる勝ちっぷりと堂々とした言動から「怪物くん」の異名をとる一方、大阪大大学院に在籍して哲学を研究する異色の棋士で、専攻はハイデガーだ。
今期竜王戦は挑戦者決定戦で羽生善治名人(44)を破り、タイトル初挑戦を決めた。その勢いで開幕2連勝。第3局を落としたが、その後2連勝してビッグタイトルをつかんだ。関西所属の棋士としては12年3月に棋王を失って無冠になった久保利明九段(39)以来のタイトル保持者となる。(深松真司)
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糸谷新竜王の話 序中盤で反省の多いシリーズだった。時間配分がうまくできなかったが、いい結果を出せて素直にうれしいです。
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